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Tuesday, March 20, 2007

教育戦争

 『ガイアの夜明け』で教育…… 見ないわけにはいかない。

「「公立」vs「私立」~教育再生の最前線では~」 : 日経スペシャル ガイアの夜明け

 昨今の教育改革に絡めたものではなく、現在の学校事情をまとめたもので目新しいことはない。しかし、品川区の中学校が結構な時間を割いて放送されていたのがよかった。アウトラインは以下。
  1. “黒船”ワタミの学校再建術
  2. スーパー公立を目指せ!
  3. 学校が選ばれる日
 郁文館夢学園の改革はまさに企業改革だ。どのような内容のことをやっているのか知らなかったが、教員にコスト感覚を養わせるための「50%プロジェクト」は興味深い。これは、私立だからできることではあるが、教員の異動がない私立だからそこ必要だと感じた。番組内の教員の発言を聞くとそれは確信となった。しかし、公立にもこの意識はとても欠けていると思う。最近、事務出身の校長が注目を集めているのも、コスト感覚の欠如と関連しているだろう。もうひとつ、なかなか刺激的な言葉ではあるが、深いと思った。

「教えることに専念することは、理想ではない」

 これは深い。素直に聞くと「なにを!?」と思いたくなるが、教えることができて当たり前というニュアンスがある。その上で経営センスとコスト感覚を求めるもので、ハードルの高い要求だ。大村はまの2歩先を行っている。かなりゲンナリする言葉だが一理ある。あと教員を評価する「360度評価」というのが取上げられていたが、さらっと流れてしまった。評価者が校長、同僚教員、生徒、保護者と四面楚歌の状態の評価であるが、重み付けがどうなっているのか謎なのでなんとも言えない。

 スーパー公立として取上げられていたのは九段中等教育学校だ。ここはすごい。なんせ、予算が他の公立校の10倍あるらしい。それゆえに、いろいろなことができている。習熟度別少数教育などはお金がないとまずできない。そして、授業時間の確保のために、土曜補講を早稲田アカデミーに委託している。これもお金がないとできない。このブログでさえも九段中学を検索して辿りついた人が多かった。謎が解けた。やっぱり、教育にはお金がかかる。

 で、最後は品川区の東海中学校。品川はいち早く学校選択性を施行した。その弊害というか、影響という感じで放送されていた。しかし、このお陰で、教員はかなり自由に授業ができるようになったのだなぁと改めて感じた。正直なところ、その他、大部分の学校はこの東海中のような状態だろう。東海中でも学力向上ということで教師間のレビューを行い、授業の質を高める努力をしている。番組では2年目の先生が取上げられていたが、問題となることは、どこでも、誰でも一緒なんだなぁと実感した。公立ならではの悩みだとは思うのだが、先に述べたように、かなり自由度の高い授業を行うことができるので、うまく切り抜けていたように見受けられた。

 校長が変われば学校は変わるという言葉がある。この番組を見ると、それは真なのだなぁと思う。九段の校長は「なりふりかまわず」という姿勢。一方、東海中の校長は理想と現実のジレンマに揺れながら。この差が一般教員に与える影響は大きい。

Friday, September 22, 2006

教育改革

 2006年9月20日付けの読売新聞・朝刊に「安倍氏 教育改革で具体策」と総合面にでっかくあったので覚書の意味も含めて安倍さんがどんな教育改革を推し進めようとしているのかまとめてみる。

 読売新聞にあったのは以下
  • 臨時国会での教育基本法の改正
  • 教員免許の更新制導入
  • 「教育バウチャー制度」導入
  • 「教育改革推進会議」(仮称)の新設
  • 学校評価制度の導入
  • 国公立大の9月入学への変更と奉仕活動の奨励
 はじめの「臨時国会での教育基本法の改正」というのは、私にはよく分からないので端折りたい。「教育改革推進会議」ってのは、臨教審や教育改革国民会議と一緒であろう。「教員免許の更新制導入」と「学校評価制度」は今さらという感じがあるので、これも端折る。なんとなく唐突に出てきたような感じがある「教育バウチャー制度」がポイントではないだろうか。

 教育バウチャーとは、asahi.com:文科省検討の教育バウチャー、効果は未知数 - 暮らし にある言葉を借りると
 教育バウチャーは一般的に、
  1. 子どものいる家庭が行政からバウチャーと呼ばれる利用券を受け取る
  2. 公立、私立を問わず、子どもが通いたいと思う学校に利用券を提出する
  3. 利用券の枚数に応じて、学校側が運営資金を得る
――という仕組みとされる。
とある。
 要は入学者の多い学校にはたくさんのお金を、予算をあげますよ。という制度だ。公立も私立も関係ない。これだと、公立は先細りしそうな感じが否めない。学校の特色を出しましょうといいますが、公立校では教員の異動がある。先生を固定せずにこのような制度が行われると公立はなくなってしまうのではとも思えてくる。利用者が選べるというのはとてもよいことだが、現行の学校行政では、競争原理を導入しようも、思ったような効果は期待でいないのではないだろうか。私立へよい人材が流れてしまうという危険もあるように思える。

 もうひとつ、目新しいものとしては「国公立大の9月入学への変更と奉仕活動の奨励」だろう。正直、意図がよく汲めなかったが、asahi.com: 「教育基本法の改正後、大学9月入学を」 安倍官房長官 - 教育 によると、
国公立大学の入学時期について「世界の大体の学校は9月だ」と語り、9月入学の導入を検討する考えを表明した。そのうえで「(入学まで)4月から9月の間に、ボランティア活動をやってもらうことも考える必要がある」
ということらしい。もっともらしいが、卒業も9月になるんでしょうか?なるんですよね、きっと。世界というよりは、イギリスよりな感じです。ファンデーション過程なども、そのうち言われそうです。
 ボランティアを義務づけるというのは、筋が違うのではないかといった話もあるだろうし、当然、あったようだ。谷垣氏がそうであった。私も、なんか違うなと思うが、ボランティア然り、インターン然り、日本ではまだまだ認められた奉仕活動ではないと感じている。特に企業ではボランティアに行く時間があるなら効率よく作業しろ。などと叱られそうであるし、もっともな意見でもある。インターンも、試験があり、それに落ちるとインターンに参加できない。インターンってそういうのだっけ?と人事に喰いついたこともある。大人の事情がある。

 バウチャー制は悪い制度ではない。ただ、現行の学校行政ではうまく機能しないことは目に見えていると思う。まずは、バウチャー制導入にあたり、しっかりとした人事制度を作るべきではないだろうか。「しっかりした人事制度」とは具体的に何かというと、学校の特色にあわせた教員を集めること。教員異動のシステムもバウチャー制にはそぐわない。教員の固定化も視野に入れてもらいたい。
 そして、ひとつの学校ではなく、生徒が移動しながら授業を受けられるのも面白いのではないか。「この教科はこの学校、これはこっち」などもありなのではないか。そうすれば格差拡大も抑制できるのでは。

 【論点・争点】(3)教育改革 : 自民総裁選 : 特集 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) に3者の主張がのっている。

Tuesday, May 23, 2006

ゼロトレランス

 ゼロトレランス(Zero Tolerance)に関する記事があった。

生徒指導厳格化:「信頼関係損ないかねぬ」…校長ら懐疑的-教育:MSN毎日インタラクティブ

 高校では停学や退学などの懲戒処分ができるが、小中学校ではできない。現在では高校でもこれらの懲戒処分が「思う存分できるか」といったら、おそらくNoだろう。最近の教育現場では敬遠されがちなことだと思う。

 このようなゼロトレランスが必要な背景もある。しかし、これを一律、横並びで行う必要は全くない。このような「厳しさ」も認めるということにはできないだろうか。そうすると基準の問題が出てくるが、学校や先生単位ではなく、児童・生徒単位で判断することができると思う。ゼロトレランスを発動するに当たり、かなり臨床実験を行ってデータや傾向等々取れているはずだ。

 記事にコメントを寄せているふたりの著名人の意見も正反対の意見なのだが、それぞれ一理あり、問題の難しさを呈していると思う。個人的意見だが、校則の信憑性というか妥当性というのも、そろそろ考えてもいいのではないかと思う。

 例えば、小中学校では授業中に飲食できない。というか、その類のものを学校に持ち込むこともできないのが原則だろう。しかし、大学や職場になれば、ドリンクはおろか、ちょっとしたおかしを傍らに置いていても文句は言われない。むしろ、作業効率があがればなんでもありという職場もあろう。

 休み時間に関しても、先生は次の授業への接続と考えて休む時間ではないと言う。そうではなく、きちんと休むための時間を確保する必要があるのではないか。私が学生の頃は、2時間目と3時間目の休みが15分か20分くらいあったが、若干長いと常々思っていた。それならば、均等に10分にしてもらいたいなと思っていた。自分が望むときに休みが取れないのだからそれくらは融通利かせてもいいと思う。私の会社では月に5%の自己管理時間というのがある。厳密に5%を計っているわけではないが、自分の好きなときに休憩を取ることが認められている。自分のペースというものが作業効率に大きく関わると、会社側も認めた結果と思う。学校の一斉教授では難しいが……

 私としては、逆に全く自由にしてしまうのもアリだと思っている。そこには時間割もない。校則もない。先生も率先して教えることはしない。教えを乞いにきたものだけに教える。まぁ、このように自発的に動ける人に育てることが義務教育の核なのだが、「枯渇感を呷る教育」ってのも必要だと思っている。

 少し話がずれてしまったが、ゼロトレランスに関しては現行の学校運営をする上では必要だと思う。しかし、ケースバイケースで児童・生徒単位で考えて行うべきだ。やってしまったコト単位で考えるべきでない。それより、ゼロトレランスの話をする前に、現行の学校運営を考えるべきなのでは思う。

Tuesday, April 18, 2006

経産省が教育活動へ

 「理系離れ」といわれるようになり長いが、そんなにひどいのかと再確認するような行動です。

経産省も理科離れ対策 理系の人材授業へ派遣 : ニュース : 教育 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 経済産業省は来年度から、理科教育に意欲のある技術者や研究者を「モノ作り博士」として地域ごとに登録し、小中学校の理科の授業に派遣する人材バンク作りに乗り出すことを決めた。子供たちの理科離れを食い止め、日本の産業技術を支える人材を育成する狙いがある。

 ◆文科省とは別事業で

 バンクは都道府県ごとに一つ以上を設置。研修を経て「モノ作り博士」に認定したうえで、小中学校などの求めに応じて教育現場に送り込む。

 経産省はすでに、科学教育関係のNPOや理工系学生が起業したベンチャー企業、科学技術系の博物館など、人材バンクになりうる組織のリストアップに着手した。今年度中に数か所で試行したうえで、来年度から全国的に本格稼働させたい考えだ。来年度予算の概算要求には約10億円を盛り込み、バンク作りを財政支援する。謝礼を出すかどうかの判断は、各バンクに委ねる予定だ。経産省は当初、文部科学省の理科教育支援策の一部として、産業界の人材を学校現場に派遣しようとしていた。しかし、「自らは予算を取らず、他省の施策に口だけ出すつもりか」(文科省基盤政策課)と難色を示されたため、独自に事業展開することにした。
 やることは「でんじろう先生を増やそう」ってな感じでしょうか?

 しかし、記事にある文科省とは別でってのが、いかにもって感じでイヤです。「自らは予算を取らず、他省の施策に口だけ出すつもりか」って聴く耳は持ちましょうよ……

Sunday, February 26, 2006

「教育の弾力化」 公立小学校で英語授業

 弾力化はよいと思う。要は「ゆとり教育」である。

「教育の弾力化」 公立小学校で英語授業 : ニュース : 教育 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 政府の構造改革特区推進本部(本部長・小泉首相)は15日、公立小学校で英語を正式教科としたり、小中学校で連携した授業を可能とする「教育課程の弾力化特区」など、現在は地域限定の13件の規制緩和を全国展開することを決定した。

 「教育課程の弾力化」では、自治体の判断で教育内容を変更し、英語以外にも中学校で教える内容の一部を小学校で教えることが出来るようになる。

 東京のディスコ経営会社が申請していた六本木でのディスコの終夜営業は、治安の悪化などを理由に認めなかった。
 公立でこのような流れを踏まえるとなると、小中一貫か中高一貫か、そういう話に展開しそうだ。

Wednesday, February 08, 2006

幼児教育義務化 具体策など検討…自民特別委初会合 : ニュース : 教育 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 この方向へ走ることは間違いなさそうな感じです。

幼児教育義務化 具体策など検討…自民特別委初会合 : ニュース : 教育 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 自民党は7日、学校教育特別委員会(委員長=塩谷立・前文部科学副大臣)の初会合を開いた。政府・与党は、幼児教育の義務化を検討する方針を固めており、同委員会で具体的な制度改正などについて協議する。

 同委員会は、党文部科学部会・文教制度調査会合同会議の下部組織として設置された。幼児教育、高等学校教育、教員・学校評価、教育委員会の4小委員会を設け、義務教育のあり方や国、都道府県、市町村の役割分担などを検討する。特に、幼児教育小委員会(小委員長=北川知克衆院議員)では、幼児教育の無償化・義務化のほか、幼稚園・保育園の幼保一元化などがテーマとなる。

 同委員会は5月中に提言をまとめ、今年の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太の方針)」に反映させる方針だ。

(2006年2月8日 読売新聞)
 義務教育のあり方としては、小・中学校の連携をもっと密にしなければいけないと思っている。幼児教育も義務化されれば、より密に連携をとるべきだろう。

 幼児は成長差が顕著にでるので、そこら辺をどのように評価に反映させていくのか興味がある。これは、小学校低学年にも言えることでなかなか難しい問題のようだ。

 義務教育でも場合により単位制のような評価を用いてもよいのではないかと、最近おもう。

Sunday, January 01, 2006

幼稚園から義務教育、延長幅1~2年…政府・与党方針 : ニュース : 教育 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 あけおめ、ことよろです。

 新聞の一面にでっかくこの記事が載っていました。正月のニュースではないような気がしましたが、家族が揃うこの日だからこその記事でもあるなって思いました。結構衝撃的な見出しです。背景には学力格差の解消が一番の理由らしいです。その他、少子化対策のためということもあるようです。

幼稚園から義務教育、延長幅1~2年…政府・与党方針 : ニュース : 教育 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 政府・与党は、小中学校の9年間と定められている義務教育に幼稚園などの幼児教育を加え、期間を10~11年間程度に延長する方針を固めた。

 幼稚園―小学校の区分による環境の変化が学力のばらつきを招いているため、幼稚園を義務教育に含め、一貫した学習体系を構築するのが狙いだ。

 幼児教育を無償にすることで、少子化対策を強化する面もある。1月に召集される通常国会に提出する予定の教育基本法改正案で義務教育の9年間規定を削除し、2009年度以降の義務教育延長の実現を目指す。

 義務教育をめぐっては、近年、小学校低学年で、集団生活になじめない児童が騒いで授業が混乱する「小1問題」が起きている。幼稚園―小学校―中学校と進学するにつれ、指導の内容、難易度などが大きく変わり、成績格差が拡大する問題も指摘されている。

 このため、政府・与党は幼稚園などの幼児教育を含めた義務教育制度の見直し論議に入っている。

 自民党は、05年9月の衆院選の政権公約(マニフェスト)に、「幼児教育の無償化」を盛り込んだ。1月にも、政調会の下に「幼児教育小委員会」を設置し、無償化の具体策として、義務教育延長を議論する。そのうえで、延長に向けた第1段階として、教育基本法4条で定められている義務教育の9年間という期間を削除する考えだ。

 与党教育基本法検討会の議論の中で、公明党もこうした考え方を大筋で了承している。

 自民党文教制度調査会幹部は、昨今の児童・生徒の学力低下を背景に、「諸外国も義務教育期間を延ばす方向だ。日本も真剣に検討すべき時期にある」と主張している。諸外国では、例えば、英国は5歳から11年間を義務教育とし、2000年から5歳未満を対象に無償の保育学校を拡充。フランスも1989年から公立幼稚園を無償にしている。

 政府・与党は、今後、幼児教育をどういう形で義務教育に取り込むのか、調整を図ることにしている。

 中央教育審議会(文部科学相の諮問機関、鳥居泰彦会長)では、05年1月にまとめた幼児教育に関する答申で、「幼小一貫教育の検討」を掲げた。政府・与党内には、このほか、〈1〉幼稚園の1~2年保育を義務教育とする〈2〉義務教育の枠内で、「幼小一貫校」を創設し、普通の幼稚園か一貫校かを選べるようにする――などの案が浮上している。
 記事を読んでみると学力格差の均等化というよりは人間性の確立の問題がメインのように受取れます。「小1問題」を引き合いに出しているからかもしれませんが。社会性の取得が急務で、そのために幼稚園を義務化しませんか?ってなかんじに受取れてしまいます。これは家庭教育が満足にいかないだろうからってのが裏で読みとれます。教育は国に任せてくださいと聞こえはいいですが、家庭教育をやりやすくするほうが急務なのではないだろうか?

 ましてや、義務教育の改革だけで全ては終わらず、高校や大学との連携をもっと密にしなければ、どこを直しても必ず綻びがでるでしょう。そのたびに、改革を振りかざすのならば子どもでもできる。

Friday, October 07, 2005

小規模特認校

 「小規模特認校」なんてのがあるんですね。はじめて知りました。

「小規模特認校、高まる人気 都会に住み自然の中で学ぶ」
 都市で働きたい、だけど子どもは自然の中で学ばせたい――。そんな保護者の願いを、引っ越し不要でかなえてくれる小学校がある。校区外からの通学を認める「小規模特認校」。近年、東京や関西など大都市圏でも広がりつつある。市街地は緑が乏しく、少子化で家族間の触れあいも少ない。そんな「都会派」の欠点を補う学校に注目が集まっている。

◇バス30分、半数が「街の子」大阪府高槻市

 JRを利用すれば、大阪、京都両駅まで15分以内。大阪府高槻市はサラリーマン世帯を中心に人気が高いベッドタウンだ。

 泉あけみさん(46)は毎朝、出勤前に6年の昂基(こうき)君(11)を車で近くのバス停に送る。バスは30分余り走ると、京都府境に近い山あいに着いた。

 市立樫田小学校。03年度、市教委から小規模特認校の指定を受けた。全校児童は45人のうち23人が「街の子」だ。昂基君は4年生の時に転入してきた。「学校の近くで、図鑑でしか見たことのなかった昆虫を捕ったよ」と笑顔で話す。

 自宅は新興住宅地にあり、以前の小学校は市内有数の大規模校だった。あけみさんは「学習塾に習い事と、子どもに過度なストレスを与えたくない。自然の中で、のびのびと育てたかった」。

 夫婦共働き。「引っ越しも、転職もしなくて済む」のが、転入の決め手の一つになったという。

 年間に約5万円かかるバス代を除けば、特別な出費はない。「私学と異なり、お金をかけずに特別な授業を受けられるのでお得です」。バスやマイカーなど保護者の責任で送迎できることが、入学の条件だ。

 同小の売り物は、「縦割り編成」。総合学習では、3~6年生を3グループに分けている。田畑、河川、山林を「教室の一つ」ととらえた授業を進める。

 その一つの稲作は、地元農家から無償で借り受けた水田で、卒業まで毎年、田植えから稲刈りまで取り組む。赤松清校長(57)は「1年前と比べることで、天候の違いも分かるし、生物への関心も高まる」。お米は1年分の給食に回る。この秋は105キロを収穫した。

 毎秋に開く説明会では、小規模校だと競争が少なく、学力レベルが下がらないかと心配する保護者が多いという。

 同小は、全学年で外国人講師による英語授業を展開。毎週1回、「がんばりタイム」という時間を設け、児童の習熟度に応じて個別指導もする。

 子どもが少ないメリットについて、6年生10人を受け持つ担任の武藤亮教諭(29)は「どの授業も一度は質問が当たるので、個々の理解の程度が分かる」と話す。

 一方、1年生の担任の中川るり教諭(52)は「目が行き渡り、ついつい手助けしてしまう。自立心がなくなってはいけないので、過度の指導はしない」と心がける。

 特認校になる前の02年度の全校児童数は28人。人気は高まる。市教委は「教室も狭く、児童の受け入れは1学年10人が限度。それを超えると、小規模校の利点も薄れるので難しい」と話す。

◇福岡・神戸など、100万都市でも続々

 「特認校」は100万都市でも相次いで誕生している。

 福岡市・博多湾に浮かぶ(のこの)能古(のこの)島(西区)。この春、市立能古小学校は「海っ子スクール」の愛称で特認校になった。5人の児童が新しく仲間入りした。

 新興住宅地の対岸までフェリーで約10分。最寄りの地下鉄の駅から、九州最大の繁華街・天神まで15分ほどで着く。在校生の保護者も対岸に通う会社員が大半だ。

 島の自然を生かした授業が特色だ。地元漁師の漁船に乗って海の汚染を調べたり、魚介類をとったりする。近くの果樹園でミカンの栽培も手がける。

 志賀康弘教頭(50)は「保護者は40人学級よりも、少人数のほうが個別の指導を受けられると期待しているようだ」。

 神戸市は02年度に、北九州市は99年度に、広島市は98年度から特認校制度を導入した。

 神戸市灘区の六甲山小学校は全校児童35人のうち、27人は校区外の子どもたちだ。ケーブルカーやバスを利用して通学する。特認校になる前年の01年度の児童数は11人に過ぎなかった。

 「山の子タイム」と題し、近くの池でザリガニや小魚をとり、ジャガイモを植えることも。南馬進教頭(48)は「住まいを変えずに、ひと味違った教育を受けさせられるのが人気の秘密ではないか」と話す。

 東京都八王子市の恩方第二小学校は特認校の指定を受けた97年度の児童数は39人。今年度は52人と増えている。

 大阪府内では、河内長野市で00年度に始まり、来年度は和泉、柏原両市でも始まる。和泉市が9月に開いた体験学習会には、約50人の児童が参加した。同市教委は「予想以上の注目。家庭的な雰囲気の中で特色ある教育を打ち出したい」と意気込む。

 文部科学省教育制度改革室は「これまでは学校の統廃合や複式学級を防ぐ意味合いで取り入れる地方都市が多かったが、近年は『学校選択の自由化』の流れで、都市部でも選択肢のメニューに取り入れる自治体が増えている」と話している。



 《小規模特認校》 97年の文部省(当時)通知「通学区域制度の弾力的運用」に基づき、学校選択制の一つとして広がった。学校選択制は特色ある教育が進む長所と、学校の序列化が進み地域との連携が希薄になる短所が指摘される。市区町村教委は従来、地理的、身体的理由や、いじめなどの「相当の理由」がないと校区外への入学は原則として認めていなかった。
 この記事中にあるように、親御さんにとってはよい試みだと思います。都会に暮らしながらも、「子どもに自然を感じながら生活してもらいたい」という贅沢な悩みを解消する術のひとつです。子どもとしては、おそらくはじめは嫌がるでしょうね。私ならイヤがると思います。でも、きっと自然の中で生活する「良さ」を実感するでしょう。ギャップを一番、肌で感じているのは子どもたちなんですから……