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Wednesday, December 19, 2007

池上嘉彦 『<英文法>を考える』

 最近のNHK教育の英語関連の番組を観ていた人には新しいことはない。

Amazon.co.jp: 「英文法」を考える―「文法」と「コミュニケーション」の間 (ちくま学芸文庫)

 本書は1991年に「ちくまライブラリー」から刊行されており、私が読んだのは1995年に刊行された文庫版。内容は16年前の本である。

 本書を手に取ったきっかけは、認知言語学の入門書としてリストアップされていたからだ。お勧めらしい。

認知言語学的メモ : 認知言語学文献案内

 認知言語学への興味は、NHK教育の『新感覚☆わかる使える英文法』による。なので、持ち合わせる認知言語学的知識は、この番組からの情報が私のすべてである。

 英単語編は、すぐに書籍になった。なので、英文法編もすぐ書籍になるだろうと思っていた。しかし、英文法編は出版される気配がない。個人的に、ヤキモキしている。

 私が通教で学んでいたとき、言語学関係の授業は「生成文法」のみであった。認知言語学については教授法のスクーリングで「はなし」があった程度で、学問として学んだことはない。

 本書の内容は、私が知っている情報とほとんどかぶる。ということは、『新感覚☆わかる使える英文法』と同等ということになる。私の事前の知識は上記のとおり。

Tuesday, November 20, 2007

加賀野井秀一 『20世紀言語学入門―現代思想の原点』

 言語学版『生物と無生物のあいだ』である。

Amazon.co.jp: 20世紀言語学入門―現代思想の原点 (講談社現代新書)

 比較言語学から「ことば」の本質へと変遷してきた言語学史をコンパクトにまとめてある。それが20世紀の言語学である。「まとめてある」などと上目線で述べたが、そう信じる。私は専門家ではない。

 出発点はソシュールである。ソシュールの功績は大きいと改めて知る。しかし、ソシュールの疑問は、現代まで綿々と受け継がれていると知ることができる。

 先日、紹介したCayraでまとめてみた。

 Amazonのレビューで「詰め込みすぎだ」という指摘があった。私としては、言語学の歴史の概観を掴むのが本書の目的だと思う。なので、詰め込みすぎという反応はピンとこない。もちろん、私は言語学の流れに詳しくない。詰め込みすぎなのかどうなのか、その判別ができないのも事実である。

 しかし、樹形図として書いてみて「詰め込み過ぎかも…」と思えるようになった。正直なところまとめきれているのか、全く自身がない。特に構造主義の件になると複雑度は増す。構造主義については勉強したい分野のひとつである。

 物足りないのは記号論の件だ。記号論はチョムスキーへの布石となり、現在の認知言語学の土台だと、本書を読んで感じた。ここは大きな転換点だ。

 少し、Cayraについて気になったことを書く。

 生成されたマップはFreeMindに比べると色彩豊か。手書きのマインドマップの雰囲気を味わえる。しかし、PCへの負荷が大きい。私のように低スペックのPCをいまだに利用している人間にとってはストレスになる。ノードの配列は基本、オートである。それが煩わしく感じることが多い。自由度を阻害している。

Tuesday, August 28, 2007

言語の脳科学―脳はどのようにことばを生みだすか

 肉厚な内容。

Amazon.co.jp: 言語の脳科学―脳はどのようにことばを生みだすか (中公新書)

 「言語をサイエンスに」という酒井邦嘉氏の思いが色濃い。もちろん、その部分は賛成であり、情報工学での活用も考えられるので、丹念に研究がなされてほしいと思う。しかし、本書を見ると、翻訳ソフトはまだまだだなぁと改めて思う。

 この手のはなしは、分野別ではなく、時系列で述べてもらえると、私はすんなり理解できることが多い。分野ごとで述べられているのであるが、2章を読んでいるのに、7章に詳しいとか書かれていると「なんだかなぁ」となってしまう。まぁ、これは私の嗜好である。

 チョムスキーの言語生得説を仮定して論じてあるので、現在の言語学、認知言語学、応用言語学の問題点を知るのによい。本書では、今までの論文を言語生得説の立場から批判している。しかし、紙面の関係上、とてもあっさりした批判に終始している感が否めない。然るに、その妥当性を解決するためには、他の書籍を見ながら、「ふむふむ」などとしなければならないだろう。そんな書籍も、時間もないので私はやっていないが、精読するならば、参考文献を手元におく必要がある。

 以下のサイトに、本書のためのチェックポイントのようなものがある。

英語教師のための認知科学・認知哲学

 「現在、常識・定説として何があるのか」ということをこのリストから考えることができる。読む際の助けとなるだろうと思う。私は読み終わってから知ったのだが……

Wednesday, March 21, 2007

脳にいどむ言語学

 一読して「ほぉ~」と腑に落ちるものは多くない。もちろん、そういった類の本でもない。

Amazon.co.jp: 脳にいどむ言語学

 大学の講義で参考文献によく挙げられているみたいだ。それくらい解りやすく書かれている。にもかかわらず、腑に落ちない、正確には感銘を受けないのはアプローチを説明しているからだ。基本的に、実験方法と評価方法を説明する本である。それはそれで有意義な内容なのであるが、第1章でことばのしくみとして生成文法の説明をしているので、脳と生成文法の関係に私の興味は向いてしまった。読み進めると、このことが本書の役割でないことがわかる。他の書籍を探すしかないのだが、参考文献が記されていないのが残念だ。

 今までの言語学は心理学とは密接であったが、生物学とは一線をひいていた。本書にも指摘があるが、今後は脳科学を軸として言語研究が盛んになるであろう。言語学の知識は評価や実験方法を設定するのに必要な基礎学問であることを如実に感じた。

Saturday, August 12, 2006

探検!ことばの世界

 激しい雷は、なにか空の悲鳴のように思えてならない今日この頃です。もろい交通機関に翻弄させられるのは歯がゆいですが、それに依存しなければならないのは世の常。幸い、せわしい日常での出来事でなかったのが、不幸中の幸いか。しかし、楽しいレジャーの予定がゴチャゴチャしてしまうのは、いささか難儀かな……

 さてさて、大津先生の「探検!ことばの世界」という本を読んだ。これがなかなか面白い。

Amazon.co.jp: 探検!ことばの世界

 この本を知ったキッカケは、今年の春スクのときでした。英語科教育法のスクで、ことばへの興味喚起というお題のディスカッションのときに、指導教授が話していたのを最近、なぜか、ふと思い出して図書館に走った。

 平易な語りで、面白い例が多く、私のような「国語嫌い」が読んでも惹き込まれる。私のような「国語嫌い」だからこそ惹き込まれるのかもしれない。英語学で、生成文法を知ったときから、これは理系思考の人にはソソラレル内容だと思った。ちなにみ、私は理系人間である。腐れ縁の友人、彼も理系思考で同じように英語教育を志したものの断念したが、同じように興味を示したといっていた。サンプルが少なすぎるが傾向は強い。データマイニングを専攻していた同僚も、生成文法は面白いと言っていた。内容はそれを包括している。

 そして、もうひとつ、分かり易い例が多い。中学・高校生向けらしいが、英語の知識(なにも高度な知識が必要というわけではない)があるとなおさら面白さが増す。国語についても同様。動詞の活用形なども、私はひとつひとつ疑問も持たずに覚えていた口だ。この本のような切り口をしている先生もおらんかったし、友人もいなかった。学生時代にこの本にであっていればと思った。

 この本の目的は、「ことば」への興味喚起である。十分にその目的を果たせると感じた。語学学習の一番のモチベーションは「興味」だ。英語ばかりでなく国語にも影響大だろう。