Wednesday, July 12, 2006

椅子のない教室

 バランスボールを椅子代わりにしたところ、生徒の集中力がアップしたという記事がasahi.comにあった。バランスボールを椅子代わりにすることに関し、私はとくに目新しさもなにもないが、このような小さな出来事にまで目が届くということに喜びを感じる。と同時に、情報過多の具合も危惧したい。

asahi.com: 「バランスボール」で集中力アップ 学習塾が活用 - 教育

 自分のほかのブログで、「会社の席、居心地いい?」という記事を書いた。その中で言及しているとおり、海外の教育現場ではすでに実行していることである。科学的根拠は分からないが、このasahi.comの記事と海外の教育現場での例を受けると、集中力アップは確かなようである。

 asahi.comの記事の学習塾がどのような経緯で椅子の代わりにバランスボールを導入したのかとても興味がある。海外では既に椅子代わりにバランスボールを使っていることを知っていて、かつ成果があることを知って導入したのか、それとも、「これいいんじゃない」という感覚ではじめたのか。

 感覚的な理由ではじめたのなら私も同意できることだ。私もはじめてバランスボールを椅子代わりにした教室を見て、直感的に「いいなぁ」と思った一人だからだ。基本的に、落ち着きのない子どもだったので、じっとしているのが窮屈でたまらなかった。集中できないことはなかったが、そこにたどり着くまで時間が必要だった。そわそわし、ああでもない、こうでもないと自分のポジションを探していた。眠る前に、寝やすい姿勢を探すのに似ている。落ち着けば後は体が反応してくれるので、なんだかんだで終わりまでいい感じで集中できる。絵を描くときなんかが特にそうであった。

 最近思うことに、エネルギーの発散が足りないことに集中力が関係しているのではないかということがある。じっとしていられないのは動きたいからだと思う。基本的に、動くことが足りないというのは、ほとんどの人が感じていることではないだろうか。歩くことで記憶力が高まるという話を聞いたことがある。歩くことで脳に血液が巡りやすくなり記憶力増大につながるそうだ。つまり、ジッとしていると脳に血液が行かないってことではないだろうか。俗にいう「貧乏ゆすり」なんてのも禁断症状のひとつなのかなと思う。日本では、下品な行為としてとがめられるけれども、気が済むまでやらせるべきでないだろうか。

 エネルギーの発散が足りない現代に、無理にジッとさせることがはたしてよいことなのかどうか、学校教育の根本にまで忍び込む必要があるのではないだろうか。そういったことを投げかけてくれる記事だと思う。

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