Tuesday, May 23, 2006

ゼロトレランス

 ゼロトレランス(Zero Tolerance)に関する記事があった。

生徒指導厳格化:「信頼関係損ないかねぬ」…校長ら懐疑的-教育:MSN毎日インタラクティブ

 高校では停学や退学などの懲戒処分ができるが、小中学校ではできない。現在では高校でもこれらの懲戒処分が「思う存分できるか」といったら、おそらくNoだろう。最近の教育現場では敬遠されがちなことだと思う。

 このようなゼロトレランスが必要な背景もある。しかし、これを一律、横並びで行う必要は全くない。このような「厳しさ」も認めるということにはできないだろうか。そうすると基準の問題が出てくるが、学校や先生単位ではなく、児童・生徒単位で判断することができると思う。ゼロトレランスを発動するに当たり、かなり臨床実験を行ってデータや傾向等々取れているはずだ。

 記事にコメントを寄せているふたりの著名人の意見も正反対の意見なのだが、それぞれ一理あり、問題の難しさを呈していると思う。個人的意見だが、校則の信憑性というか妥当性というのも、そろそろ考えてもいいのではないかと思う。

 例えば、小中学校では授業中に飲食できない。というか、その類のものを学校に持ち込むこともできないのが原則だろう。しかし、大学や職場になれば、ドリンクはおろか、ちょっとしたおかしを傍らに置いていても文句は言われない。むしろ、作業効率があがればなんでもありという職場もあろう。

 休み時間に関しても、先生は次の授業への接続と考えて休む時間ではないと言う。そうではなく、きちんと休むための時間を確保する必要があるのではないか。私が学生の頃は、2時間目と3時間目の休みが15分か20分くらいあったが、若干長いと常々思っていた。それならば、均等に10分にしてもらいたいなと思っていた。自分が望むときに休みが取れないのだからそれくらは融通利かせてもいいと思う。私の会社では月に5%の自己管理時間というのがある。厳密に5%を計っているわけではないが、自分の好きなときに休憩を取ることが認められている。自分のペースというものが作業効率に大きく関わると、会社側も認めた結果と思う。学校の一斉教授では難しいが……

 私としては、逆に全く自由にしてしまうのもアリだと思っている。そこには時間割もない。校則もない。先生も率先して教えることはしない。教えを乞いにきたものだけに教える。まぁ、このように自発的に動ける人に育てることが義務教育の核なのだが、「枯渇感を呷る教育」ってのも必要だと思っている。

 少し話がずれてしまったが、ゼロトレランスに関しては現行の学校運営をする上では必要だと思う。しかし、ケースバイケースで児童・生徒単位で考えて行うべきだ。やってしまったコト単位で考えるべきでない。それより、ゼロトレランスの話をする前に、現行の学校運営を考えるべきなのでは思う。

Monday, May 22, 2006

視点を変えて、みて

 教育系バラエティー番組の平成教育委員会。中学入試程度の問題、すなわち、小学校卒業程度の知識で解ける問題が出題されるのだが、なかなか……

 最近のこの番組の社会の時間だったか、一般には見たことのない一見、歪な日本地図が登場し、「これはなにを表している地図でしょうか?」という問題が出題された。答えは、東京から鉄道で移動した場合にかかる所要時間だった。このサイトWorldmapper: The world as you've never seen it beforeの地図を見てそれを思い出した。

 このサイトの地図はおそらく、Web2.0で使われる「cloud化」とのからみでユニークな考えだなぁということで、はてなブックマークで上位にランクされたと思う。このような遊び心や感覚が、近年の「個性」を問う受験では出題されるのだなぁなんてのも考えた。

Monday, May 15, 2006

授業削り職員会議

 にわかに信じられない記事。正直、職員会議というものが何を話される場なのか詳しく知らないが、記事にある
勤務終了時間の午後五時を待たず、午後四時には教職員が帰宅できるようにするための編成だった。
というのは、いやはや……

Sankei Web 産経朝刊 八王子の公立小 授業削り職員会議 4割29校 振り替え、児童に負担(05/14 05:00)
 東京都八王子市内の二十九の小学校が、「職員会議」などを理由に毎週水曜日の授業を午前中だけで切り上げ、児童を下校させていることが十三日、同市教委の調査で分かった。学力低下への不安が高まり、全国の公立学校で授業の充実に悪戦苦闘するなか、八王子市では教員たちの会議のために授業が犠牲にされ、児童にしわ寄せが及ぶような「時間割」が残っていた。市教委側は「問題がある」としており、二学期以降の時間割編成で改善を指導する考えだ。

 市教委が市内の小学校六十九校の時間割や学校運営などを調べたところ、全体の四割を超える二十九校は、職員会議などが予定される毎週水曜日を午前中の四時限授業(一時限四十五分)だけにし、児童は給食後に下校させていた。

 同市では職員会議を毎月一回開くことを原則としている。二十九校は、職員会議がない週も四時限で授業を打ち切り教科別、学年別の教員研修に充てることもあった。水曜日に行わなかった午後の授業分は、月曜日や金曜日などに埋め合わせを図り、学習指導要領で定めた一週間の標準時数(通常二十七時限)を確保していたという。

 関係者によると、午前中だけの授業で児童を帰宅させ、午後を職員会議などに充てる時間割は、昭和三十九年から東京都内の公立学校で続いていた。通常二時間かかるとされる「職員会議」を終え、勤務終了時間の午後五時を待たず、午後四時には教職員が帰宅できるようにするための編成だった。

 こうした慣習は平成十年に発覚、問題となり、その後の都教委の指導で現在は教職員が四時に帰ることはできなくなった。学力低下への不安が広がり、ゆとり教育への批判が高まりを見せるなかで、「学力向上」や授業の充実を掲げる学校が一般的となり、時間割も見直された。

 八王子市内でも、残る四十校は水曜日に五時限目(昼休み終了後)の授業を確保。職員会議は児童下校後の夕方に開き、授業の犠牲や児童へのしわ寄せがないような時間割だった。
 今、職員会議自体が問題になるケースもあるようだ。民間出身の校長がまず手をつける部分といっても過言ではないくらい、普通の感覚とは何か違うらしい。先週の読売新聞の教育ルネサンスが「民間出身校長」特集だったのでビビッときた。

 こういうのを聞くと軽い脱力感があるのは、私だけでしょうか。

Thursday, May 11, 2006

誤字・脱字

 今までも必ずあったであろう教科書の誤字・脱字。しかし、これほど大きなニュースになるってことは今年はその量が多いってコトだろう。

教科書:中学校で使用の半数に誤り 文部科学省調査-教育:MSN毎日インタラクティブ
 今年度から中学校で使われている教科書134点のうち、ほぼ半数の65点で計208カ所の誤りがあることが文部科学省の調査で分かった。誤りは全9教科16科目の教科書で見つかり、同省は「誤りがあってはならないだけに非常に残念。検定作業を一層慎重に行うとともに、出版社にもチェック体制を強化してもらう必要がある」と話している。

 同省によると、今年1月、高校の政治・経済の教科書に誤りが見つかったため、出版社に点検と報告を求めていた。誤りの例としては、漫画「はだしのゲン」の作者、中沢啓治さんの名前のふりがなを本来の「けいじ」ではなく、誤って「けんじ」としたり、「ひらがな」という言葉を誤って「ひらなが」と記述していた。
 マニュアルの査読などをした経験から話をさせていただきたい。案外見落としてしまいます。査読は内容の妥当性、表現が難解でないかなど文章表現にポイントがおかれます。なので、かなり意識して一字一字読まないと誤字・脱字は見過ごされてしまうと、上司に怒られた経験があります。

 まぁ、子どもたちはこういったものを探しては喜んでいるんですけどもね。

教職員の成果とは? - 教職員に成果主義

 成果主義導入のニュースは岩手県だが、現在、どの程度教職員に対して成果主義が導入されているのだろうか?とても興味がある。まず成果目標をどのように設定するのだろうか?評価期間は、学期単位かそれとも年度か、はたまた受け持った子どもたちが卒業するまでだろうか。少し調べてみる価値はありそう。

教職員に成果主義。県教委が導入へ(岩手) : 教育行政 : 地域ニュース : 教育 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 県教委は今年度から、教職員の勤務成績に基づき、昇給やボーナスの額に差を付ける制度を導入する。今月中に詳しい評価制度や基準をまとめ、来年4月の昇給や今年12月に支給するボーナスから適用する方針。これまでの教職員の勤務評価は、人事の参考にはなっても、給与には反映されなかった。今回、県人事委員会の勧告に従い、制度を見直すことにした。

 県立学校や市町村立の小中学校の教職員ら計約1万4000人が対象となる。

 新制度では、教職員をAからEまでの5段階で評価し、成績に応じて昇給に差を付ける。評価の方法は人事委員会の規則に沿って、上位のAとBは相対評価とし、下位のDとEは基準に該当した教職員に付けるようにする。結果的にC評価を得る人が最も多くなる見通し。ボーナスについても、昇給とは別に4段階に分けて支給額を決める。

 県教委は評価の担当者や職場ごとの評価の指針を詰め、6月から評価を始める。教職員課は「公平で客観的な制度を早急に取りまとめたい」としている。

(2006年5月11日 読売新聞)
 しかし、この記事を読むと、どうも公務員の給与カットの穴埋め的なニオイがしてならない。私だけだろうか……

Wednesday, May 10, 2006

小学校英語 - 先生がしていることを児童にやらせるのは……

 今週のNHK - 首都圏ネットワークの特集が小学校英語のようです。今日はALT確保について行政や現場の奮闘ぶりを放送していました。そこで、小学校の先生方がALTと授業の打ち合わせをしているシーンがあった。授業計画をALTに伝え、理解させ、ALTの意見も柔軟に取り入れる。そういった遣り取りだろう。そこでの先生のコメントが気になりましたのでひとこと……
私たちも鍛えられています
 ここでの「鍛えられています」というのはおそらく次のようなことと思う。
  1. ALTと英語で授業計画をしなければならないので英語力が鍛えられる
  2. 英語教育について勉強している
 そこで私は1の意で思ったことがある。おそらく、英語教育全般においての目標というのは、「英語を介してなにかやりとげる」といったものだと思う。小学校の先生方は今、まさにその状態で、かつ理想的な環境下にいると思ってしまった。指導する立場の人間が、教える場合の理想的な環境下にいるのはなんとも幸運だし、ちょっと可笑しい。
 もしかしたら、小学校では、先生の変わりに児童がALTと話し合いをして授業計画を作るってのもアリなのかなぁと思ってしまった。

Tuesday, May 09, 2006

母語と母国語

 ひっかかりシリーズ第2弾です。第1弾は外人と外国人でした。

 私は最近まで特に意識せずに母語や母国語という言葉を使っていました。どちらかというと、母国語という言葉のほうが、使用頻度は高かったように思います。その国で話されている言葉というよりは、第1言語といったニュアンスで使っていました。

 なぜ、この言葉にひっかかったのかというと、第2言語の話をするときに頻繁に使われる言葉です、このふたつは。その中で、何人かは使い分けているような気がしたんですね。そこにひっかかり少し調べてみようと思いました。

 端的にいうと、母国語という言葉は日本でしか使わないようです。政治的な理由があるってのが大抵の見解かと思います。Googleさんで調べてみると、そこいらの意見がワンサカ出てきます。そして、辞書(Yahoo!辞書)の国語で母国語を調べると、その意味は母語に内包されて、母語のなかの狭義で母国語といった示し方をしています。要は意味は同じですよということ。

 私の意見としては、母国語は公用語とでも呼んだほうがいいのではと思う。

Monday, May 08, 2006

大学も企業も自分が生き残ることに必死

高校生青田買い:1学期で合格…面談で合格も 大学も必死-教育:MSN毎日インタラクティブ

 「AO入試」を採用する大学が国公私立を問わず急増し、いち早く高校生を囲い込もうという動きが強まっている。高校3年の1学期にあたる5月末に合格を出すことを表明したり、選抜の途中で合格の「内定」を出す私立大も現れた。急激な少子化を背景とする「青田買い」の過熱に、高校側は「生徒が学校で勉強しなくなる」と神経をとがらせている。

 AO入試は、大学が受験生の自己推薦を募り、面接や小論文で選抜する。高校長が日ごろの成績を基に生徒を推す従来の推薦入試に比べ、人物重視の選抜方式とされる。本家米国では多くの大学が早くから取り入れ、日本では慶応大が90年度初めて実施。導入する大学は増え続けている。

 推薦入試では願書の受け付けを11月1日以降とする文部科学省のルールがある。しかし、AO入試に縛りはなく、多くの大学は夏ごろから受け付けを開始する。

 昨年、福岡県太宰府市の第一経済大では、5月末に合格を出すという触れ込みでAO入試の受験生を募った。しかし、応募者はなく、今年は合格発表を7月末に設定する見通し。

 また、愛知県美浜町の日本福祉大は先月受け付けを開始(合格発表は10月)。岐阜県大垣市の岐阜経済大は今月15日から開始する(同11月)。愛知県岡崎市の愛知産業大は、出願前の面談で合格に当たる「出願許可書」(内定)を出す。

 AO入試の広がりについて、大手予備校の担当者は「中には『来れば内定、会えば内定』という大学もある」と明かす。大学見学や面談に訪れた受験生を軒並み合格させるという意味で、選抜の質を疑問視する。夏休み前に進路を決める生徒も増え、進路担当の都立高教諭(39)は「生徒が楽な方へ流れ、勉強しなくなる」と嘆く。

 推薦入試でも80年代後半、大学がいかに早く合格を出すかを競い合い、当時の文部省が95年度から「11月1日」の縛りを設けた経緯がある。【高山純二】

 ◇10年で161校も増加

 文科省によると、国公私立の大学数は05年度が計726校(国立87、公立86、私立553)。10年前の97年度は計565校(国立98、公立52、私立415)で計161校も増加した。一方、大学進学者数は95年度の59万7986人に対し、05年度が56万8336人と約3万人も減少した。07年度には大学・短大の進学希望者数と合格者数が同じ「大学全入」になるとの試算もある。

 ▽AO入試 学生の募集から入試までを担当する米国の大学の「アドミッション・オフィス」(入学事務局)が、名前の由来。大学により選抜方法は異なるが、志望理由などを記したエントリーシート(志願書)を提出させ、面接や小論文で選考するのが一般的。国立では00年度、東北大、筑波大、九州大の3校が初めて導入。文部科学省によると、05年度入試では、国立大では約3割の25校、公立大は2割弱の12校、私立大では約7割の364校が導入した。

毎日新聞 2006年5月8日 3時00分
 少し前の就職活動でも問題になった青田買い。少子化により学生確保が難しくなり、なんとしてでも学生を確保したいという思いが感じられる。

 AO入試自体が悪いわけではない。ましてや、早めに、この記事のように5月に内定を出すことも悪いことではないと思う。確かに勉強しなくなるということも真だが、その後の時間を学生は有意義に使えるメリットもある。大学の勉強の予習をするかもしれない。しかし、記事によると、学生の動向云々ではなく、結局は学生確保、経営安定といった企業経営のためというのはいささか悲しい。もし、自分なら、そのような目的でAO入試を行っているであろう大学には、進んで入学することはないだろう。この判断は難しいが……

 全入時代だからこそ、大学のブランドに価値がおかれる。これからは、今まで以上に受験は激化するだろう。そして、間違いなく大学は二極化する。就職にも影響するでしょう。

Sunday, May 07, 2006

ノートからごみ出しまでを大学で教える

 ちょっと驚いたが、必修としてやることなのだろうかと思ってしまう。もっと他にやりたいことがある学生もいるはずである。

Yahoo!ニュース - 時事通信 - ノートからごみ出しまで=基本教える必修授業-金沢大、今年度から
 「教授が繰り返す部分は重要事項。しっかりメモして」-。ノートの取り方からごみの出し方まで、大学生活の基本を教える授業が、今年度から金沢大学(金沢市)で始まった。背景には、高校までの教育で大学で学ぶための基礎が身に付いていないという実態がある。
 授業は「大学・社会生活論」で、半期の必修科目。「勉学や生活にかかわる必要な基本事項を学び、自らの将来像を考える」ことが目標で、ノートやリポートの書き方、図書館の使い方、健康づくりなどを学ぶ。
 これもゆとり教育の弊害なのか、きっと、それ以前は小学校や中学校などの初等教育で行われていたことなのだろうが、それが大学で帳尻合わせをせねばいけぬ状態になってしまったのだろうか。

本屋のオヤジが気づいたこと

 このような試みが行われていることすら知らなかった自分にガッカリですが、現社会におけるひとつの問題提起にも一役買うのではと思う。

asahi.com: 「中学生はこれを読め」 書店主が推薦リスト、全国波及 - 教育
 札幌の本屋のオヤジは気がついた。「最近の中学生は本を読まないと言うが、うちには彼らのコーナーがなかった」。オヤジは500冊のお薦めをリストアップし、専用の棚を作って、こんなキャンペーンを始めた。「本屋のオヤジのおせっかい 中学生はこれを読め!」。それから1年半、おせっかいは全国に広がっている。
 本屋のオヤジの言葉に
「最近の中学生は本を読まないと言うが、うちには彼らのコーナーがなかった」
というのがあったが、これが現実だろう。Web進化論でも触れているが、書店には実空間に収めされるだけの本しかおけない。しかも、あまり売れない本をおくだけでは、在庫負債といった形になってしまうので、基本的にはどこの書店も似たり寄ったり、かつ、売れ筋の本をおくことになる。それじゃイカンと気が付いたオヤジに拍手を送りたいです。

 こういった試みは学校外だからこそ機能すると私は考えているので、できれば、学校教育には持ち込まないでもらいたい。なぜかというと、学校教育に吸収されてると、当初の目的が変わってしまって、まるきし機能しないことが多々あるという話を聞いたことがその根拠。具体的にどれとどれと言えないが、これは間違っていないという気がしている。

Friday, May 05, 2006

教員は人事権で縛られている

 現在、教員の人事を決めるのは都道府県と政令指定都市である。今回、政令指定都市ではないが、それと同程度の市町村には人事権を譲渡しましょうという話らしい。

小中教員の人事権、36中核市に移譲へ : ニュース : 教育 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 文部科学省は2日、都道府県と政令市が持つ、公立小中学校の教職員の採用や懲戒処分などに関する人事権を、新たに中核市にも移譲する方針を固めた。

 市町村側に、人事権がないため地域の実情に応じた教職員の配置ができないとの不満が出ていたことに対応するものだ。地方教育行政法改正案など関連法案を遅くても来年の通常国会に提出し、2008年度からの施行を目指す方針だ。

 中核市は人口30万人以上で面積100平方キロ・メートル以上か、人口50万人以上が要件。現在、旭川、秋田、横須賀、金沢、浜松、東大阪、倉敷、鹿児島市など計36市ある。

 現行の公立小中学校の教職員の採用や異動、処分は、政令市については市が独自に行えるが、中核市と一般市町村については、都道府県が行っている。人事権を持たない中核市と一般市町村からは、「教諭の関心は(人事権を持つ)都道府県教委の方にあり、市町村の指導に従わない」などの声が上がっていた。

 中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)も、05年10月に当面、中核市をはじめとする一定の自治体に人事権を移譲するように答申していた。

 文科省の方針は、この答申に沿ったもので、一般市町村への人事権移譲は、財政基盤が脆弱(ぜいじゃく)な自治体が多いため見送る。ただ、中核市には県庁所在地などが多く、政令市に加え中核市も教員を独自採用することになれば、優秀な教員が政令市、中核市以外に回ってこなくなるとの懸念が一般市町村側にはある。

 今回の法改正では都道府県や中核市などに教職員の人事全般に関して一般市町村と連携する協議会の設置を義務づけることを検討している。

(2006年5月3日 読売新聞)
 教員としては異動範囲が狭まる(?)ので朗報なのかしら。まぁ、これはいいとして、次の一文が気になった。
人事権を持たない中核市と一般市町村からは、「教諭の関心は(人事権を持つ)都道府県教委の方にあり、市町村の指導に従わない」などの声が上がっていた。
 これは本当なのか?確かに一般企業で考えると、市町村の指示・指導は部レベルで、都道府県の指示・指導は事業部レベルの指示という感覚なのだろうか。それならば、分からないでもない。しかし、市町村の指導に従わないのが、どのような指導に従わないか分からないのでなんとも言えないが…… でも、トップダウンならば都道府県の指示・指導は市町村を経由して各学校・教員へ届くのではなかろうか。ということは、普通に考えれば、市町村の指示・指導は都道府県の了承を得てから発せられるはずじゃなかろうか?市町村の指示・指導は間接的には都道府県の指示・指導のはず…… なんじゃなかろうか…… どうも、合点いかない。

Monday, May 01, 2006

耳が痛いお話しかも……

 はてなダイアリーで展開されているZ会のブログに以下のような記事があった。素直になると耳が痛いお話。

Z会 はてなダイアリーver. - 高校生と変わらない意識じゃダメ!

 まず、「教員養成セミナー」を購読していない。立ち読みで済ませてしまう。やはり、投資しなければならないと思いながらも、躊躇する。「英語教育」は時々、気になる特集が組まれているときには購入している。その前にやることがあるのだが……

小学校の英語必修化 - 問題は教員

 「小学生が優先的に学ぶモノはなにか?」といった論調で、様々な意見がある小学校の英語必修化。しかし、問題は教える側にあるという内容の記事。

産経Web【教育を考える】
■小学校の英語必修化 教員確保も大きな課題 自治体、育成に動く

 中央教育審議会の外国語専門部会報告を受け、小学校での英語教育が本格実施へと動き出した。英語必修化に対しては「国語力や基礎学力を付けるのが先なのでは」といった否定的な意見もあるが、そもそも英語を教えることができる教員を確保できるかも大きな課題の一つと指摘される。各自治体は近い将来を見据え、研修や手引書を作成するなどして教員育成に乗り出している。(石田貴子)

≪研修は不可欠≫

 英語教育に熱心なことで知られる東京都文京区立誠之小。英語活動を担当する主任の三浦邦子教諭は、英語必修化への課題を「まずは教員研修」と話す。

 同校の場合、英語活動は三年生以上が年間三十五時間、一、二年生が十八時間。外国人の外国語指導助手(ALT)が約半分の時間を担当するが、それ以外は担任教員が行っている。

 三浦教諭は「研修の場を持たないとどう指導していいのか分からないし、教員が自信を持ち楽しく教えないとそれが児童に影響してしまう」と教員研修の重要性を強調する。

 同校では指導方法などについて年六、七回の研修を行うほか、新しく赴任してきた教員にはこれとは別に数度の研修を行っている。しかし、それでも「個人的に学校外でも勉強する人も多い。時間がない中、本当に苦労している」という。

 文部科学省によると、全国二万二千二百三十二公立小のうち、平成十七年度に英語活動を行った学校は93・6%。実施校は年々増加傾向だが、活動は九割以上が「学級担任」が担当している。小学校教員には英語の免許が必要なく、専門部会の報告でも「指導者、教材などの条件整備は不可欠」と指摘されている。

≪大学など協力≫

 こうした指摘を受け、英語必修化へ向けて教員育成に取り組む自治体も出始めた。

 荒川区は数年前から区が独自に作成した英語教育の指針に従い、年間八回の教員研修を実施。授業の進め方や教え方のノウハウを学ばせるほか、実際の授業ではALTのほかに大学講師や長期海外滞在者など英語教育に詳しい専門アドバイザーを派遣して教員をサポートさせている。

 区教委は「担任指導が中心となるので、教員育成は重要視している」とする。今後は授業運営のテクニックなどに加え、「話す」「聞く」など基本的な英語力をもっと身につけてもらうためにさらに研修に力を注ぐ考えだ。

 小平市でも津田塾大の協力を得て昨年から教材開発や指導方法について教員が学ぶ場を設けたほか、文京区も今年度から外部に委託した教員研修を義務付けた。

≪手引書を作成≫

 東京以外でも福岡市が三月、教員用の英語教育の手引書を作成した。手引書は約百十ページにわたり、授業の流れや年間計画、教材開発などを網羅。昨年、同市で英語教育を進めている百四十校のうちの十八校が公開授業を行ったところ、授業の進め方や内容について学校ごとのバラつきが目立ったことから手引書作成を決めた。

 同市教委は平成十五年ごろから国の動きに合わせて英語教育への支援を展開しており、「急では(教員育成が)間に合わない。今年度も、資料配布や研修を重ねたい」と話している。

                  ◇ 【用語解説】小学校の英語必修化

 中央教育審議会の外国語専門部会が3月、小学5年生から英語を必修化すべきだとの報告書をまとめた。授業時間数は5、6年生に週1回、年間で35時間程度。正規の教科のように成績評価はせずに、「総合的な学習の時間」で指導を行うよう提言している。文部科学省は今年度中にも学習指導要領を改訂して英語必修化を盛り込む方針で、早ければ4、5年後からスタートする。
 ごもっともなな内容で、何をどのように教えるのか、そこら辺はこれからの大きな課題。「ALTを導入して…云々」とあるが、ALTの質の問題はかなり深刻。そうなると、日本人が教えるしかない。そうなると教育がどうしても必要となる。要は教育行政のあり方が問われている問題だ。

 私立や一貫校などで最近、英語教育が盛んに行われているような報道がされているが、そんなことはなく、前から行っている。一貫校は創立までに、かなりの時間があるので綿密なプランを練る時間や適切な教員を採用する時間があった。つまり、ぱっとでのことではなく、綿密なプランが存在し、選ばれた教員により、時間をかけて授業計画を作っているはずなのである。そのような、綿密なプランのもと組まれた計画と対抗しなければならない公立小学校の英語必修化に追われる、行政と教員は……と思う。

横浜市は教員不足か?

 教員の年齢制限は各教育委員会でマチマチだ。既に、年齢制限がないところもあれば、30歳という場所もある。

asahi.com: 横浜市立校教員採用試験、年齢制限なくす - 教育
 横浜市教育委員会は4月20日、06年度に実施する市立学校の教員採用試験で、これまでの年齢制限をなくし60歳未満までとすると発表した。「団塊の世代」教師が06年度末から退職し始めるため、人材を確保するのが目的。子どもの減少で採用が少なかった35~45歳の教員を増やす狙いもあるという。

 これまで教員採用試験の受験資格は、一般選考と語学やスポーツで実績のある人を対象にした選考は35歳未満、教員経験者と社会人を対象にした選考はそれぞれ40歳、45歳未満だった。教職員人事課の宮下岡三課長は「若い人も必要だが、豊富な社会経験や実際に子育てをしたことのある人材も発掘したい」と話す。

 06年度は約850人を採用する予定。全国から受験者を募るため、今年から新たに札幌、広島の両市内のホテルでも説明会を実施する。
 横浜の場合は、2007年問題によるもので、団塊の世代の大量退職による補てん。それでも記事にある一言に、私は目が止まった。
子どもの減少で採用が少なかった35~45歳の教員を増やす
 ある意味素晴らしい考えだと思うが、既に就職して10~20年経った、元教員志望は戻ってくるだろうか?

 情報源はどこは忘れてしまったが、記事の内容はこんな感じ。
2000年の就職超氷河期の学生で正社員として就職できず、派遣で働き、キャリアアップなどとは無縁の人生になる恐れがある人が多い。しかし、昨年度はバブル期以上の求人倍率だったが、新卒や第二新卒にしか門戸は開かれていない。学生側にすれば、卒業年度で内定率に雲泥の差があるのは不公平で納得できない。就職氷河期時代の年代にも同じ条件でチャンスを与える必要があるのではないか。
という旨の記事があった。

 この記事を読んでいたので、あの一文が気になった。だが、少し時間が経ちすぎている気もしないでもない。とにかく、横浜は教員確保に躍起になっている。狙い目かもしれない。