Monday, May 01, 2006

小学校の英語必修化 - 問題は教員

 「小学生が優先的に学ぶモノはなにか?」といった論調で、様々な意見がある小学校の英語必修化。しかし、問題は教える側にあるという内容の記事。

産経Web【教育を考える】
■小学校の英語必修化 教員確保も大きな課題 自治体、育成に動く

 中央教育審議会の外国語専門部会報告を受け、小学校での英語教育が本格実施へと動き出した。英語必修化に対しては「国語力や基礎学力を付けるのが先なのでは」といった否定的な意見もあるが、そもそも英語を教えることができる教員を確保できるかも大きな課題の一つと指摘される。各自治体は近い将来を見据え、研修や手引書を作成するなどして教員育成に乗り出している。(石田貴子)

≪研修は不可欠≫

 英語教育に熱心なことで知られる東京都文京区立誠之小。英語活動を担当する主任の三浦邦子教諭は、英語必修化への課題を「まずは教員研修」と話す。

 同校の場合、英語活動は三年生以上が年間三十五時間、一、二年生が十八時間。外国人の外国語指導助手(ALT)が約半分の時間を担当するが、それ以外は担任教員が行っている。

 三浦教諭は「研修の場を持たないとどう指導していいのか分からないし、教員が自信を持ち楽しく教えないとそれが児童に影響してしまう」と教員研修の重要性を強調する。

 同校では指導方法などについて年六、七回の研修を行うほか、新しく赴任してきた教員にはこれとは別に数度の研修を行っている。しかし、それでも「個人的に学校外でも勉強する人も多い。時間がない中、本当に苦労している」という。

 文部科学省によると、全国二万二千二百三十二公立小のうち、平成十七年度に英語活動を行った学校は93・6%。実施校は年々増加傾向だが、活動は九割以上が「学級担任」が担当している。小学校教員には英語の免許が必要なく、専門部会の報告でも「指導者、教材などの条件整備は不可欠」と指摘されている。

≪大学など協力≫

 こうした指摘を受け、英語必修化へ向けて教員育成に取り組む自治体も出始めた。

 荒川区は数年前から区が独自に作成した英語教育の指針に従い、年間八回の教員研修を実施。授業の進め方や教え方のノウハウを学ばせるほか、実際の授業ではALTのほかに大学講師や長期海外滞在者など英語教育に詳しい専門アドバイザーを派遣して教員をサポートさせている。

 区教委は「担任指導が中心となるので、教員育成は重要視している」とする。今後は授業運営のテクニックなどに加え、「話す」「聞く」など基本的な英語力をもっと身につけてもらうためにさらに研修に力を注ぐ考えだ。

 小平市でも津田塾大の協力を得て昨年から教材開発や指導方法について教員が学ぶ場を設けたほか、文京区も今年度から外部に委託した教員研修を義務付けた。

≪手引書を作成≫

 東京以外でも福岡市が三月、教員用の英語教育の手引書を作成した。手引書は約百十ページにわたり、授業の流れや年間計画、教材開発などを網羅。昨年、同市で英語教育を進めている百四十校のうちの十八校が公開授業を行ったところ、授業の進め方や内容について学校ごとのバラつきが目立ったことから手引書作成を決めた。

 同市教委は平成十五年ごろから国の動きに合わせて英語教育への支援を展開しており、「急では(教員育成が)間に合わない。今年度も、資料配布や研修を重ねたい」と話している。

                  ◇ 【用語解説】小学校の英語必修化

 中央教育審議会の外国語専門部会が3月、小学5年生から英語を必修化すべきだとの報告書をまとめた。授業時間数は5、6年生に週1回、年間で35時間程度。正規の教科のように成績評価はせずに、「総合的な学習の時間」で指導を行うよう提言している。文部科学省は今年度中にも学習指導要領を改訂して英語必修化を盛り込む方針で、早ければ4、5年後からスタートする。
 ごもっともなな内容で、何をどのように教えるのか、そこら辺はこれからの大きな課題。「ALTを導入して…云々」とあるが、ALTの質の問題はかなり深刻。そうなると、日本人が教えるしかない。そうなると教育がどうしても必要となる。要は教育行政のあり方が問われている問題だ。

 私立や一貫校などで最近、英語教育が盛んに行われているような報道がされているが、そんなことはなく、前から行っている。一貫校は創立までに、かなりの時間があるので綿密なプランを練る時間や適切な教員を採用する時間があった。つまり、ぱっとでのことではなく、綿密なプランが存在し、選ばれた教員により、時間をかけて授業計画を作っているはずなのである。そのような、綿密なプランのもと組まれた計画と対抗しなければならない公立小学校の英語必修化に追われる、行政と教員は……と思う。

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