Thursday, December 14, 2006

わかったつもり 読解力がつかない本当の原因

 「わかったつもり」は、ひとつの「わかった」状態で安定状態だ。そんな言葉が本書中に何度も繰り返し出てくる。それくらい、読みに対して厄介な状態ということ。本書は、読みに対するひとつの姿勢を示してくれる。

Amazon.co.jp: わかったつもり 読解力がつかない本当の原因

 結構、読まれている本だということがGoogleの検索結果やAmazonのレビューからも分かる。それ故に、様々なレビューがあるが、私は「良書」だと思う。特に第5章の「2. 解釈の自由と制約」、「3. 試験問題を解いてみる」は良かった。まとめのページから引用。

  1. 整合的である限りにおいて、複数の想像・仮定、すなわち「解釈」を認めることになります。間違っていない限り、また間違いが露になるまで、その解釈は保持されてよいのです。
  2. ある解釈が、整合性を示しているからといって、それが唯一正しい解釈と考えることはできないのです。
  3. しかし、ある解釈がどこかの記述と不整合である場合には、その解釈は破棄されなければならないのです。

 これは、「なるほど、そういうことか」と妙に腑に落ちた。本書にもあるが、国語の試験問題で、適切なモノを選ぶより、適切でないモノを選ぶ設問の方が自信を持ってスムーズに解答できたことを思い出した。それが、上記の「整合性」に関わる記述とピッタリだ。

 これを見ると、日本の国語教育でも「論理的な考え方」が行われていたのだなぁと実感する。ただ、それを「教える側」も「教わる側」も深く考えず、なんとなくやり過ごしてしまったのだと思う。そういう私も、なんとなくやり過ごしてしまったひとりなのだが……

 読み易い本ではあるが、扱っている問題ゆえに、書かれていることが冗長になってしまっていると感じる。しかし、そのために読むのを放棄してしまうのはもったいないと思う。

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