Tuesday, February 19, 2008

7人の特別講義プロジェクト&モーニング編集部 『ドラゴン桜公式副読本 16歳の教科書』

 16歳という思春期の本としては聞きなれない年齢がターゲットになっている。16歳と釘打っている理由は巻末資料に書かれている。

Amazon.co.jp: ドラゴン桜公式副読本 16歳の教科書~なぜ学び、なにを学ぶのか~

 ドラゴン桜公式副読本らしい。ドラゴン桜のコミックもドラマも見ていない私にとっては、本書で述べられていることがドラゴン桜の名物講師にそっているのかどうかなど二の次である。

 本書の講師は7人。国語は金田一秀穂氏、数学は2人、鍵本聡氏、高濱正伸氏、英語は大西泰斗氏、理科は竹内薫氏、社会は藤原和博氏、課外授業は石井裕之氏である。豪華な特別講義だ。一人ひとりの印象的なことばを引用したい。

 ます、金田一秀穂氏

美しさや情緒なんて、しょせんはご飯のふりかけみたいなもので、ベースとなるのは正確無比な文章なんですよ。(pp.24)

 先日読んだ、三森ゆりか氏の『外国語で発想するための日本語レッスン』と同じようなトレーニング法が書かれている。「絵をことばで書く」は正に同じ。もうひとつ、金田一先生のはなしで好きなのが「辞書を作ると仮定してください。『右』ということばをどう説明しますか?」というのがある。こういうの好きです、私。お気に入りの答えは、「この辞書の奇数ページ側です」という答え。「やられた!」と思った。

 数学は例外的に二人でして、その一人の鍵本聡氏。括弧つきで計算問題となっている。平たく言うと算数だろう。

 でも、数学で学ぶのは、「知識」じゃないんです。
 もっと根っこのところにある「数学的思考」、つまり、ものの考え方や論理の進め方などを学ぶのが、数学という学問なんですね。(pp.50)

もうひとりの数学担当、高濱正伸氏は図形問題担当となっている。

 そしてやる気のある状態、つまりたのしくてたまらないというシチュエーションの中で、どうやって補助線が浮かぶような状態をつくっていくか。
 これを突き詰めていくと、外遊びに尽きるように思うんですね。(pp.82)

 うまい具合に相互依存になった。当然といえば、当然だ。最近強く、思うのは高濱氏のことばの方で「遊び」を認めないといけない。学校は座学だけで成り立っていたのは、放っておいても遊んだからだ。バランスがとれていた。今は、体を使った遊びを学校へ取り組まないとバランスがとれないのではないかと考えている。

 英語の大西泰斗氏。

 それは英語で読書すること。難しい本を読めってことじゃないんだ。最初のうちは童話でもいいし、なんとかポッターとかでもいい。教科書以外の、「ネイティブがネイティブに向けて書いたもの」を読む習慣をつけてほしいんです。(pp.119)

 なにも言うことはあるまい。

 理科(物理)の竹内薫氏。

それから物理学の中には「間主観性」という考え方があるんですよね。(pp.149)

 ともて難しいことをいっていると思う。理科は客観を理解するところからはじまる。その行き着く先が間主観性である。「はて、なんだろう?」ということになるだろう。高校では相対性理論も量子力学もやらないから気がつく人は限られているだろう。ちなみに竹内氏は「化学はダメ(苦手)」といっている。

 社会の藤原和博氏。

 でも、実際に [よのなか] 科が導入されている学校は、まだまだ少ない。これを読んでいる読者の大半は、そういう授業を受けられる環境にないと思う。
 そこでどうすればいいかといったら、なにより大事なのは良質な「遊び」ですね。(pp.175)

 上の高濱氏と似たようなことをいっている。同じような主張がふたつ入っているのは心強い。しかも、片方は校長先生である。

 最後は、セラピストの石井裕之氏。

 自己暗示という言葉には、大きな誤解が潜んでいます。
 (略)
 これはなぜかというと、ほんとうに大丈夫だったら、わざわざ「大丈夫だ」なんて言わないんですね。本当に受かる人、合格間違いなしと確信を抱いている人は「オレは受かるんだ」なんて言わない。(pp.194)

 はぁ、納得。確かにそうだ。誤解していたが、私はあまり実践していない。

 自分の得意分野、「これなら負けない」というものをつくっていくコツは、「部分から攻める」ことです。(pp.208)

 これは最近、うまい比喩をみつけた。どこで見つけたかは失念してしまったがこんな感じであった。「山は、高くなるために裾野が広がったのではない。高くなったから裾野が広くなったのだ」

 ビートたけしがこのようなことを言っていた。

大学の教授なんかは若いやつにやらせないとダメ。逆に、小学校なんかはじいさん、ばあさんにやらせたほうがいいんじゃないと思うよ。

 これ、感覚的にいいなぁと思っていたのだが、つながった。

No comments: