Wednesday, June 11, 2008

宮本哲也 『強育論』

Amazon.co.jp: 強育論-The art of teaching without teaching-: 宮本 哲也: 本 本書を読んだ多くの人は「なんて乱暴な」と思うかもしれない。なぜそう思うのかというと、私もそういわれているからである。

 本書はタイトルのとおり「強い人」をつくることを目指している。つくるとは乱暴な言い方であるが、ひらがなにしたことで許してもらいたい。「強さ」を「育む」で強育、うまい当て字だと感心する。しかし、このタイトルが、私にとっては足かせとなる。まぁ、それはどうでもよい。「強い人」とはなにか?自ら伸びる人ということか。

 本書には宮本氏の塾での指導内容が詰め込まれているようだ。本書を読んで、大村はま氏の著書を読んだときと同じような気持ちになった。大村氏の著書では、「『静かにしなさい』ということばは、教師として敗北宣言である。」という、強烈なことばが印象的であった。

 宮本氏のスタンスも同じだ。本書ではそれを「緊張感」としている。緊張感を出すために塾ではどうしているのか、緊張感を保つために家庭はどうあるべきか、がとつとつと書かれている。

 大村氏との共通点として注目したいのは、教材のすばらしさだ。大村氏は自らせっせと教材つくり、教科書研究を怠らなかった。宮本氏も自作のパズルなど、入塾生の興味を惹くために努力している。その姿をかつて、『情熱大陸』でみた。英語教育では田尻悟郎氏も自作の教材が有名である。よい教師、よい授業の最低条件なのかもしれない。頭が下がる。

 本書の内容は読まずとも頭に入ってくる。おかしな表現であるが、私の素直な感想だ。ベクトルは同じ方向を向いていると思っている。

 私は本書のようなスタンスを「ゆとり教育」と思い込んでいた。齟齬があるわけだ。

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