山岡道男 / 淺野忠克 『アメリカの高校生が読んでいる資産運用の教科書』

『アメリカの高校生が読んでいる経済の教科書』
の続編。
前著は経済全般をざっくり解説であったが、
本書は、身近なお金にまつわることをざっくり解説。
このシリーズはまだまだ増殖中らしく、
本書の続編に
『アメリカの高校生が読んでいる起業の教科書』、
4月には
『アメリカの高校生が読んでいる金融の教科書』が
出版されるようだ。
- はじめに パーソナルファイナンスで格差社会を生き残れ
- パーソナルファイナンスの基本 その1
- かしこい預金術 複利のマジック
- パーソナルファイナンスの基本 その2
- かしこい運用術 72、114、144のルール
- パーソナルファイナンスの基本 その3
- 複式簿記のコツ バランスシートの使い方
- 第1章 「お金を稼ぐ」かしこい方法ー収入の巻
- 仕事のかしこい選び方 Cost benefit analysis ― 費用・便益アプローチ
- 働く理由 Incentive ― 賃金が働くきっかけになる
- 賃金はどう決まる? Pay ― 賃金はあなたのスキルの価格です
- 人を雇うコスト Labor cost ― 派遣社員と正社員の違い
- 人的資本 Human capital ― スキルを輝かせる!
- 可処分所得 Disposable income ― 収入=自由に使えるお金ではない
- 第2章 「お金を貯める」かしこい方法ー資産運用の巻
- 金融機関 Financial institution ― 間違いだらけの金融機関選び
- パーソナルファイナンス式家計簿 Household account book ― お金はどこに消えたのか?
- 3つのゴール Three Kinds of Goals ― 将来のあなたが欲しいものは?
- 負債 Debt ― 良い借金、悪い借金
- 中央銀行 Central bank ― 中央銀行があなたの財布を握っている!
- インフレーション Inflation ― もしあなたが日本銀行の総裁なら
- 実質金利とインフレリスク Real interest rate ― 資産がどんどん減っていく!
- 第3章 「お金を借りる」かしこい方法ーローン&クレジットの巻
- お金を借りる Borrowing ― 「ご利用は計画的に」の「計画的」って?
- 返済方法 Repayment ― 利息はどれだけ膨らむか
- ライフプラン Life plannig ― 家計は2度破産する!
- ノンバンク Non-bank ― あなたの利息が会社の利益になる
- 個人信用情報機関 Unbanked household ― 自由の国アメリカの現実
- 第4章 「お金を増やす」かしこい方法ー投資の巻
- 投資 Investing ― 投資と投機の違いとは
- ねずみ講 Pyramid scheme ― 必ず儲かる話はない!
- 株式投資 Stock investment ― 少しだけ企業のオーナーになる
- 株式市場 Stock market ― 「株式」の新聞はここを見る!
- 損益計算書 Income statement ― 企業の成績表をもとに投資する
- 債券投資 Bond investment ― 企業や国にお金を貸す
- 長期金利 Long yield ― 株式と国債の人気は反比例する
- 投資信託 Mutual funds ― 実は、投資信託選びも難しい!
- リスク・ピラミッド The risk pyramid ― 多角化・分散化のために
- ワールド・リスク・ピラミッド The world risk pyramid ― 金融商品のリスクを知る
- 第5章 「お金を守る」かしこい方法ーリスクマネジメントの巻
- リスクヘッジ Risk hedge ― あなたの味方は時間、敵はインフレ
- 海外への投資 Investment in foreign countries ― お金は成長率の高い国に集まる
- 外国為替 Foreign exchange ― 為替予約とFX
- 保険 Insurance ― 保険でリスクを管理する
- おわりに
- 巻末付録 パーソナルファイナンスの公式集
- 補論「72のルール」
- 索引
目次を読むと、知っている言葉が並ぶ。
前著よりも本書の方が知識ベースでも実生活ベースでも身近だ。
それゆえに、
あやふやなことに気をつけなければならない。
本書にもあの悪名高いリボ払いについて述べられている。
今でも CF で頻繁に宣伝されている。
この刷り込みは侮れない。
例えば4択などで迷った場合、
全く知らない選択肢と
名前だけは知っている選択肢の
どちらを選ぶかとしたら、
おそらく名前だけは知っている選択肢を選ぶ人が多くなる。
受験指導などでも注意する一つである。
両者とも実質情報量としては大差ないのであるが、
わずかでも馴染みのあるものに信頼を置く。
テレビっ子は注意したれ。
「アメリカの高校生が読んでいる経済学の教科書」には、貸借対照表、バランスシートが一カ所も登場しないのである。経済学の許可書でおなじみの予算制約線と無差別曲線の組み合わせは出てくるのに。金融リテラシーで最も役に立つB/Sが全く登場しないのである。
上記の指摘もカバーされている。