Friday, October 07, 2005

小規模特認校

 「小規模特認校」なんてのがあるんですね。はじめて知りました。

「小規模特認校、高まる人気 都会に住み自然の中で学ぶ」
 都市で働きたい、だけど子どもは自然の中で学ばせたい――。そんな保護者の願いを、引っ越し不要でかなえてくれる小学校がある。校区外からの通学を認める「小規模特認校」。近年、東京や関西など大都市圏でも広がりつつある。市街地は緑が乏しく、少子化で家族間の触れあいも少ない。そんな「都会派」の欠点を補う学校に注目が集まっている。

◇バス30分、半数が「街の子」大阪府高槻市

 JRを利用すれば、大阪、京都両駅まで15分以内。大阪府高槻市はサラリーマン世帯を中心に人気が高いベッドタウンだ。

 泉あけみさん(46)は毎朝、出勤前に6年の昂基(こうき)君(11)を車で近くのバス停に送る。バスは30分余り走ると、京都府境に近い山あいに着いた。

 市立樫田小学校。03年度、市教委から小規模特認校の指定を受けた。全校児童は45人のうち23人が「街の子」だ。昂基君は4年生の時に転入してきた。「学校の近くで、図鑑でしか見たことのなかった昆虫を捕ったよ」と笑顔で話す。

 自宅は新興住宅地にあり、以前の小学校は市内有数の大規模校だった。あけみさんは「学習塾に習い事と、子どもに過度なストレスを与えたくない。自然の中で、のびのびと育てたかった」。

 夫婦共働き。「引っ越しも、転職もしなくて済む」のが、転入の決め手の一つになったという。

 年間に約5万円かかるバス代を除けば、特別な出費はない。「私学と異なり、お金をかけずに特別な授業を受けられるのでお得です」。バスやマイカーなど保護者の責任で送迎できることが、入学の条件だ。

 同小の売り物は、「縦割り編成」。総合学習では、3~6年生を3グループに分けている。田畑、河川、山林を「教室の一つ」ととらえた授業を進める。

 その一つの稲作は、地元農家から無償で借り受けた水田で、卒業まで毎年、田植えから稲刈りまで取り組む。赤松清校長(57)は「1年前と比べることで、天候の違いも分かるし、生物への関心も高まる」。お米は1年分の給食に回る。この秋は105キロを収穫した。

 毎秋に開く説明会では、小規模校だと競争が少なく、学力レベルが下がらないかと心配する保護者が多いという。

 同小は、全学年で外国人講師による英語授業を展開。毎週1回、「がんばりタイム」という時間を設け、児童の習熟度に応じて個別指導もする。

 子どもが少ないメリットについて、6年生10人を受け持つ担任の武藤亮教諭(29)は「どの授業も一度は質問が当たるので、個々の理解の程度が分かる」と話す。

 一方、1年生の担任の中川るり教諭(52)は「目が行き渡り、ついつい手助けしてしまう。自立心がなくなってはいけないので、過度の指導はしない」と心がける。

 特認校になる前の02年度の全校児童数は28人。人気は高まる。市教委は「教室も狭く、児童の受け入れは1学年10人が限度。それを超えると、小規模校の利点も薄れるので難しい」と話す。

◇福岡・神戸など、100万都市でも続々

 「特認校」は100万都市でも相次いで誕生している。

 福岡市・博多湾に浮かぶ(のこの)能古(のこの)島(西区)。この春、市立能古小学校は「海っ子スクール」の愛称で特認校になった。5人の児童が新しく仲間入りした。

 新興住宅地の対岸までフェリーで約10分。最寄りの地下鉄の駅から、九州最大の繁華街・天神まで15分ほどで着く。在校生の保護者も対岸に通う会社員が大半だ。

 島の自然を生かした授業が特色だ。地元漁師の漁船に乗って海の汚染を調べたり、魚介類をとったりする。近くの果樹園でミカンの栽培も手がける。

 志賀康弘教頭(50)は「保護者は40人学級よりも、少人数のほうが個別の指導を受けられると期待しているようだ」。

 神戸市は02年度に、北九州市は99年度に、広島市は98年度から特認校制度を導入した。

 神戸市灘区の六甲山小学校は全校児童35人のうち、27人は校区外の子どもたちだ。ケーブルカーやバスを利用して通学する。特認校になる前年の01年度の児童数は11人に過ぎなかった。

 「山の子タイム」と題し、近くの池でザリガニや小魚をとり、ジャガイモを植えることも。南馬進教頭(48)は「住まいを変えずに、ひと味違った教育を受けさせられるのが人気の秘密ではないか」と話す。

 東京都八王子市の恩方第二小学校は特認校の指定を受けた97年度の児童数は39人。今年度は52人と増えている。

 大阪府内では、河内長野市で00年度に始まり、来年度は和泉、柏原両市でも始まる。和泉市が9月に開いた体験学習会には、約50人の児童が参加した。同市教委は「予想以上の注目。家庭的な雰囲気の中で特色ある教育を打ち出したい」と意気込む。

 文部科学省教育制度改革室は「これまでは学校の統廃合や複式学級を防ぐ意味合いで取り入れる地方都市が多かったが、近年は『学校選択の自由化』の流れで、都市部でも選択肢のメニューに取り入れる自治体が増えている」と話している。



 《小規模特認校》 97年の文部省(当時)通知「通学区域制度の弾力的運用」に基づき、学校選択制の一つとして広がった。学校選択制は特色ある教育が進む長所と、学校の序列化が進み地域との連携が希薄になる短所が指摘される。市区町村教委は従来、地理的、身体的理由や、いじめなどの「相当の理由」がないと校区外への入学は原則として認めていなかった。
 この記事中にあるように、親御さんにとってはよい試みだと思います。都会に暮らしながらも、「子どもに自然を感じながら生活してもらいたい」という贅沢な悩みを解消する術のひとつです。子どもとしては、おそらくはじめは嫌がるでしょうね。私ならイヤがると思います。でも、きっと自然の中で生活する「良さ」を実感するでしょう。ギャップを一番、肌で感じているのは子どもたちなんですから……

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