Monday, November 14, 2005

工業高校生、久しぶりに「金の卵」

2007年問題に備えて、各企業が技術者の卵を欲しがっているというのが根底らしい

河北新報の記事より。以下、引用
大量定年目前 工業高校生、久しぶりに「金の卵」 仙台

 仙台市内の工業高校に、関東や東海地方の大手メーカーからバブル期に迫る求人が押し寄せている。業績回復に加え、団塊世代の大量定年が目前に迫り、製造業各社が人集めに走っている。来春卒業予定の3年生は久しぶりに「金の卵」扱いを受けるが、生徒側は地元志向が強く、求人・求職のミスマッチも目立ってきた。

 宮城工業高(青葉区)では、県外企業への就職希望者39人に対し、292社から求人があり、求人倍率は7.5倍。県内企業を希望する生徒の求人倍率2倍を大きく上回る。県外希望の就職内定者は1日現在ですでに31人に上り、前年実績と並んだ。

 内定先は、トヨタ自動車やホンダなど日本を支える大企業が中心。進路指導部長の鈴木康弘教諭は「東海や首都圏などの自動車が好調。団塊世代が大量に退職し始める2007年問題に備え、各社が技術者の卵を大量に欲しがっている」と説明する。

 仙台工業高(宮城野区)でも、県外就職希望者の求人倍率は8倍。内定者は22人(10月20日現在)で、すでに今春実績を6人上回った。「担当者が直接学校を訪れ、ぜひうちに来てほしいと生徒に頼み込む企業もある」(進路指導部)という。

 県内就職を希望する生徒が多い普通高校でも、県外企業から求人が相次ぐ。明成高(青葉区)では、7日現在の内定者33人のうち県外が10人を占め、地元希望者より早く内定する傾向が見られる。

 都道府県別の高卒予定者求人倍率をみると、7月末現在、東京3.65倍、愛知2.05倍に対し、宮城は改善はしているものの0.76倍と低い。地元企業の業績回復の遅れが影響している。

 特に仙台の場合は、東北各県からも就職希望者が集まるため、数字以上に厳しい状況だが、就職希望者の9割は地元志向だ。
 企業の就職試験は1次募集が終わり、2次募集に入っているが、この時期でも地元志向の生徒が多いという。県外企業からの求人は2次募集に入っても好調だが、各高校では「県外からの豊富な求人が無駄に終わる可能性もある」とみている。

2005年11月14日月曜日
 いつもながら、社会は、特に企業は「その場しのぎ」の対策しかしないなぁという印象だ。地震と違って十分に対策を練れる問題なのに、また、同じような問題を繰り返そうとしている。なぜ、計画的な雇用ができないのだろうか?それほど、社会とは激流なのか?いつも疑問に思う。計画的な雇用は、働いている人、これから働く人の心の安定に大きく関わってくる。

 ニートやフリーターを突く社会の流れだが、企業の雇用体制を突くのが本論ではなかろうか?

 今回の仙台の事例でも、需要と供給のミスマッチが既に現われているようだ。倍率だけ見たら、バブル時期のそれと同じ数字かもしれないが、ナカミは違う。特に地方からの求人だと、高校生はなかなか具体的なビジョンを想像できないし、ためらうのではないだろうか。社会人になれば、それこそ、いつ地方に飛ばされるか分からない。きちんと学生に伝わっているだろうか?就職場所は、ほんとうは誰にも分からない。これが事実だと思っている。

 実際に、私の身近にもこれがある。採用は関西でも勤務地は東京。地元で就職して10年働いたが、合併で東京へ単身赴任。これが、現実である。ならば、東京や大都市の会社に就職し、ある程度安定した勤務地を保証してもらったほうが、精神的に楽ではなかろうか?大都市なら、働きながら大学にも通える、他の道も見ることができる。これをよい機会だと考えられる、考えさせることが学校には必要ではなかろうか。

 工業高校の生徒が来年も、金の卵としてもてはやされる保障はない。働きながら考えるのも、悪くはない。

No comments: