Tuesday, August 29, 2006

ムダで儲ける会社

 昨日のカンブリア宮殿は面白かった。久しぶりに偏頭痛に襲われたが、それを抱えていても集中できる面白さだった。ゲストは松浦元男氏、樹研工業という、私ははじめて知る企業の社長だ。チョット前に、世界最小の歯車を開発した企業といえば「そういえば、そんなニュースがあったなぁ」と思い出すかもしれない。その会社の社長さんなのだが、この人の姿勢・スタンスに非常に共感した。内容は番組ホームページにあるのでそれを参照してもらいたい。

カンブリア宮殿:テレビ東京

 松浦氏は、確かに経済やマーケット動向を読む力に長けている部分があるが、それ以上に社員教育の部分で感銘を受けた。松浦氏の考え方は、性善説の考えに沿っているという。そして、誰にでも他人より長けた部分があり、それを伸ばし見つけることが社長の仕事だと断言しているという言葉に感銘を受けた。それは、入社条件にも現われている。
 入社条件は「先着順」だという。履歴書不要、入社試験、面接なし、純粋に先着順だという。ありえない。一般的な考えからいうならば、少しでも有能・優秀な社員を確保したい。しかし、社長の考え方は先に述べたように、「誰でも人より長けた部分を持っている」のであれば、そんなものは不要だし、「たかだか数十分でなにが分かる」という言葉も重みが違う。

 オーディエンスの質問で「結果の出ない社員の処遇はどうしていますか?」という質問があった。それに社長は、「結果の出ない社員がいないので分かりません」と答えた。この人はすごいと思った瞬間でもあった。彼は続ける。「1ヶ月や半年で、得意分野が分かる社員もいるが、3年、4年と模索する社員もいる。しかし、必ず、その人の長けた部分が見つかる。」
 この言葉のすごいところは、結果を出せる得意分野の模索に期限を設けていないところだ。
 一般的に、「何年目までにはなにを」と期日を設けて、それを過ぎてもダメな場合「結果が出ない」とされる。しかし、それをしていない。
 これまた一般論だが、期日を設けることで尻を叩き、やる気を鼓舞しているのだが、松浦氏はこれを社員には分からないように行っているそうだ。私はこの部分にいたく感銘した。私が考える「ゆとり」と同じ定義だったからだ。

 この考えをどのように実現しようか悩んでいたが、松浦氏にヒントがありそうだ。Googleさんに問い合わせたところ約20,000件ヒットした。そのひとつに読売新聞のインタビューの記事があった。

第1回) 樹研工業 松浦 元男社長 減点恐れたら 新技術ない : グローカル : 中部経済 : 中部発 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 番組中にあった、「一流は失敗を恐れる、三流は恐れない」という言葉は、どこか歯がゆいが、的を得ている言葉だとも思う。そして、自分自身にとっても耳が痛い言葉である。この人の人間性というものも、この会社が結果を残せた大きな要因だと思う。
 「非合理的なことが、実はもっとも合理的だ」番組はこう言いたいのだと思う。感覚的にはなんとなく理解できても、言葉にするのは難しいし、不確定要素が多い。しかし、不確定要素を省いていった結果が、現在の合理主義である。この不確定要素の研究を望む。

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