Monday, April 16, 2007

脳と音読

 古典回帰。最近、音読やら素読やらが効果的な学習方法として注目されつつある。本書は、それを脳科学の視点から覗き込み、「脳にやさしい教育」を考える。

Amazon.co.jp: 脳と音読

 外国語教育に関心があるので、そこをメインに。本書ではマルチンガルを2つに分けている。臨界期に複数言語を獲得した人と臨界期後に複数言語を獲得した人としている。両者では脳の働きが異なるようだ。そのような理由から区別したのだろう。臨界期後の外国語修得に、「脳にやさしい教育」が効率的かどうか議論が分かれるところだ。

 「脳にやさしい教育」とは、脳が理解する過程に沿った学習方法で学ぶということ。苦痛に感じることでも、それが「脳にやさしい教育」ということもある。非常に興味のあることではあるが、本書で記されている外国語学習法は、現在は敬遠されている方法である。効率的でないという理由で、学校では行われていない。

 外国語にかかわらず、教育界では教授法は常にブラッシュアップがなされている。そして、さまざまな学習法ができ、実践されている。それゆえに、学習者は混乱している。そういう私もふりまわされているひとりだ。ぶっきらぼうな言い方だが、どの学習法でも効果はある。好き嫌いだけだ。どの学習法でも続けることに意味がある。

 しかし、SELHiで素読が授業に取り入れられた。素読の効用は、まだ科学的な根拠を得ていないが、古くからの外国語修得方法として成果が出ているのは事実だ。「ほんとうに科学的な裏づけが必要なのか?」微妙なところではある。本書には、素読をしているときに「楽しさ」を感じるということばがあった。快・不快は「脳にやさしい教育」とは一切、関係ない。しかし、「楽しさ」は継続の糧だ。

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