Wednesday, March 21, 2007

脳にいどむ言語学

 一読して「ほぉ~」と腑に落ちるものは多くない。もちろん、そういった類の本でもない。

Amazon.co.jp: 脳にいどむ言語学

 大学の講義で参考文献によく挙げられているみたいだ。それくらい解りやすく書かれている。にもかかわらず、腑に落ちない、正確には感銘を受けないのはアプローチを説明しているからだ。基本的に、実験方法と評価方法を説明する本である。それはそれで有意義な内容なのであるが、第1章でことばのしくみとして生成文法の説明をしているので、脳と生成文法の関係に私の興味は向いてしまった。読み進めると、このことが本書の役割でないことがわかる。他の書籍を探すしかないのだが、参考文献が記されていないのが残念だ。

 今までの言語学は心理学とは密接であったが、生物学とは一線をひいていた。本書にも指摘があるが、今後は脳科学を軸として言語研究が盛んになるであろう。言語学の知識は評価や実験方法を設定するのに必要な基礎学問であることを如実に感じた。

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