Friday, May 25, 2007

魔法の発音 カタカナ英語

 脳科学者の池谷裕二氏による、英語発音本。ネタとしては古典。

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 ネタとしては古典なのだが、「PART1 意識改革編」にかかれていることは有用だ。
本や文字は本当にそこにあるのでしょうか。[p.21]

という、脳科学の導入部分を引き合いにし、認知と英語の問題を理解させようとしている。そして、P.24にある「英語の上達はあきらめよう!?」で核心にふれている。
「La」という空気の振動が耳に届いて鼓膜を性格に振るわせたとしても、残念ながら私の脳には「La」に反応する脳回路はありません。しかたなく脳は「ラ」の神経を反応させます。となれば、私にとってその音は「ラ」以外の何物でのないのです。なぜならば、音は脳の外側にあるのではなく脳の内側で作られるのですから。[p.25]

 絶望的なことが書かれているが、もっと絶望的なことがその下にある。
聞き分けるのは無理でも、発声の能力ならばうまく身につけられる可能性があるのです。……私はBとVをうまく発音できているのかもしれません。にもかかわらず、私が発したBとVの音が、悲しいかな、自分にはまったく同じに聞こえるのです。[p.26]

 心当たりがある人は多いと思う。

 本書で言いたいことは、――日本語話者が「La」と「Ra」を「ラ」と認識してしまうように、英語話者も舌を口の中のどこにも触れず「ラ」と発した音を「Ra」と認識してしまう。ならば、カタカナを利用して、英語話者に英語の音として拾ってもらえるような発音を模索しましょう―― ということだ。

 カタカナ発音に関してはすでに多くの書物もあるので、本書にこだわる必要はないと思う。本書ではwomanをウウォムンとしているが、他の本でウオマンと示しているのを見たことがある。日本語話者としてはまったく違う音であるが、英語話者にはどちらもwomanと聞こえるらしいので……。しかし、意識改革だけは本書でなければ読めない。

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