Saturday, May 26, 2007

理科系の英語

 先日の池谷氏の本から
―日本人の著書の方へ―
英語のネイティブな方に文章をチェックしてもらってから
論文を投稿してください。
(『魔法の発音 カタカナ英語』 pp.12)

 うん。そうなのだ、そうなのだ。でも、英語のネイティブというだけではダメなのだ。だから、非常に手間がかかるのだ。

Amazon.co.jp: 理科系の英語

 論文のチェックに英語のネイティブという条件だけではダメというのは本書に書かれているので一読あれ。ちょっとした笑い話です。

 さて、本書は木下是雄著の『理科系の作文技術』(中公新書)の英語版というスタンスだ。中公新書からは『理科系のための英文作法』というモノも出版されているのだが、こちらは未読。

 書くさいの心構えは、構成は▼型で、1文は短く、一義的に意味がとれる文章を心がける、などは『理科系の作文技術』と同じだ。英語に特化した指摘としては、冠詞と名詞の単数・複数、前置詞の使い方、類語、分詞構文があげられている。

 よく問題となる冠詞についてだが、著者の以下の指摘は腑に落ちる。
冠詞は限定詞であるということに強い意識を持つべきである。つまり、冠詞は、自分の考え、事実関係などを明確に示すための極めて重要な道具である。従って、「冠詞が名詞につく」というより、むしろ「名詞が冠詞につく」と考える方が妥当と思える。[pp.73]

 冠詞をこのように考えると間違える頻度は減ると思う。私も基本、このように考えている。これは話すときにも有効だと思っている。

 そして、理科系だけの問題ではないと思うが略語についてもふれられている。本書が示すように技術用語の略語は多い。しかし、あまり下品に略語を公にしないように釘を刺している。理由は、略語ばかりになり、一体なにを指しているのか不明瞭になること、もうひとつは、英語に不慣れなために下品なスラングと同じスペルになってしまうことが示されている。論文ばかりでなく、プログラムを書く際のクラス名やモージュール名なども同じような失態につながりかねないので、ここらへんはかなりシビアだ。

 その他、勉強法として、書く力をつけるために筆写を勧めたり、リスニング力の重要性を説いたりと目新しいことがないのが英語の修得に王道なしといったことをさらに強くする。

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