Wednesday, August 06, 2008

野矢茂樹 『無限論の教室』

Amazon.co.jp: 無限論の教室 (講談社現代新書): 野矢 茂樹: 本 この甘酸っぱい感じはなんだろう。私はなぜか「タッチ」を思い出していた。哲学の本から受ける印象と、青春マンガから受ける印象が同じなのはイヤハヤ……

 本書は、タイトルどおり「無限」に関する哲学の本である。無限と無限論に差があるのかどうなのか知らないが、とにかく無限について書かれている。なので、哲学といっても数学であるといってよい、と私は思う。まぁ、こんなことをいえばグーで殴られるだろう。でも、理解へ到達する順番として私はそう思うことにした。そうしたら意外とスッキリした。しかし、このスッキリ感が理解につながっているかどうかはあやしい。

 本書が無限論にかんして、どれほど優れた解説書かどうかわからない。電磁波や四次元はイメージしにくいが、数式としてはしっかりと記述できる、そういうギャップに等しいと思うからである。なにが「そういうキャップ」に等しいのか?私が読んだ他の本での無限の説明だ。このようなギャップを伴っていた。しかし、本書はしっかりと無限を捉えることができる、と私は思っている。優れた解説書かどうかわからないのは、比較することができないからだ。これは私の不勉強に他ならない。

 優れた解説書かどうかわからなくても、良い本に出会ったというのはわかる。和尚さんとタカムラさんといっしょにイスに座って講義を受けているというのではなく、もうすこし離れた、大学院生がその講義に聞き耳をたてている、そんな距離感を味わった。私はそんな距離感がすごく好きだ。ときどき読み返すだろうなぁ、この本は。

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