Monday, February 13, 2006

asahi.com: 先生の卵に教委流指導 都に続き杉並・京都市も塾開設 - 教育

 まず、「現場で実体験ができる」ということは学生にとっては嬉しいことだと思う。いわば、インターンのようなもので、自分が適応できるかどうかの目安にもなる。雇う側、雇われる側、双方にとってメリットのあることと思う。

asahi.com: 先生の卵に教委流指導 都に続き杉並・京都市も塾開設 - 教育
 先生の卵を自らの手で育てたいと、教育委員会が大学の担ってきた教員養成に相次いで乗り出している。東京都が一昨年から「東京教師養成塾」を開いているのに続き、杉並区がこの春「杉並師範館」を、京都市も今秋に「京都教師塾」を始める。「大学だけでは即戦力は育たない」と教委側は語る。だが、行政の方針に則した養成で型にはまった教員が育つ恐れはないか、など課題は多い。

◇「即戦力、大学では不足」

 東京都目黒区立上目黒小学校4年1組に上野由美子先生の声が響いた。「八丈島の暮らしを班でまとめましょう」。机の間を細かく回り、ひざを曲げ、子どもの目の高さで語りかける。

 上野さんは帝京大学4年生で、「東京教師養成塾」の塾生。同校で1年間、教育実習をしてきた。

 授業を見守るのは、校長OGで塾の「教授」の寺崎利子さんと1組担任の吉田真紀子先生。「まだ早口かな」「でも、直そうとしているのが伝わってくる」と励ました。

 都が小学校の志願者を対象に全国で初めて塾をひらいたのは、04年春のことだ。「学校は不登校、学級崩壊など多様な課題に直面している。大学を出ただけでは即対応できない。板書の方法から子どもとの関係づくりまでの実践力を育てたい」と都教育庁は言う。

 塾生は受け入れ校を中心に年間40日以上の教育実習をするほか、月1回の講義やゼミ、就業体験活動などをこなす。

 都の特徴は大学や受け入れ校との連携重視だ。都内の大学に人数を割り当てて塾生を推薦してもらい、面接して決める。教員採用試験では筆記が免除され、受け入れ校に優先的に配属される。

 初年度は96人が塾生になり、試験を受けた93人全員が採用された。翌05年度は90人が選ばれ、8人が進路変更、82人が学んでいる。受講料の18万7000円は、都の教員になれば免除される。

 都に続くのは杉並区の「杉並師範館」。実習や講義などのプログラムの柱は都を参考にしたが、狙いは教員を自前で育てることに置く。教員の採用は今まで都しかできず、区で研修しても他の自治体に異動していた。それが区で自腹を切れば独自に採用できるようになることから「地域に根付いた先生をじっくり育てたい」と踏み切った。

 「師範館」は外郭団体の形で設け、塾長にソニー顧問の田宮謙次氏が就任、理事は小林陽太郎富士ゼロックス会長、三重野康・元日銀総裁ら経済人が目立つ。全国公募で215人が書類を提出。面接、筆記試験を経て27人が合格した。「教師は、子どもの『規範』を確立する」など教師五則を掲げる。修了者は区で採用する方針だ。

 京都市の「京都教師塾」の仕組みは都、杉並区と大きく違う。小中学校の教員志望者で大学2年生以上を対象に、300人を登録制で受け入れる。団塊の世代の教員の大量退職で採用の門戸が広がることから、質を落とさないために志願者のすそ野を広げ、底上げしようと企画した。

 実習は10日以上と短いが、小中学校に随時ボランティアに入ってもらう。講師は現場教師と指導主事らで、採用上の優遇措置は設けない。「別枠採用でエリート集団をつくりたくない」(門川大作教育長)という。

●各教師塾の仕組み

        東京教師養成塾   杉並師範館   京都教師塾

募集数     100人       30人       300人
募集方法    大学推薦      公募       公募
実習日数    40日以上     30日以上    10日以上
採用上の優遇  あり        あり        なし
受講料     18万7000円   9万6000円   1万円


◇塾生、年間通じた実習「よかった」

 行政の教師塾が相次いで誕生しているのは、「大学がどこまで実際の学校で生きる教育をしているのか」という教委側のいらだちの表れだ。

 「大学は講義中心の指導が多い」「研究者が現場の課題とつながらない自分の専門を教えているだけ」といった教委の批判は、大学に教育の再検討を迫るものでもある。

 行政の塾の特徴は、じっくり教育実習に取り組める点にある。特に先行する都と杉並区の場合、免許を取るのに必要な4週間程度ではなく、1年間を通じて実習できる。教師の指導技術を体験し、子どもの変化も見られるだけに、都の塾生の多くが「よかった」と評価した。

 だが、そのプログラムも課題を抱えている。

 採用権を握る行政が塾で自らの教育施策の方針を強く押し出せば、それを従順に受け入れ、批判力の乏しい教員が育ちかねない。

 都の塾では日の丸・君が代をめぐる細かな指導もある。塾生からは「塾のゼミなどで、都の考えに反する意見が言いにくい」という声が目立つ。

 どの自治体も「現場主義」の姿勢を強調するが、その内容は果たして何なのかも問題だ。

 東京学芸大の佐久間亜紀助教授(教師教育論)によると、学生が現場でマニュアルを習うのか、学校の生(なま)の課題を多角的に考え学ぶのかで方向が全く違う。学校を舞台に理論と実践をどう結びつけるのか。「大学教育も含めた養成全体の吟味が欠かせない」と見る。
 記事では、大学の教職課程にもふれている。「現場とのつながりがない」といっているが、確かにそう感じる。実際、大学以外で教えた経験のある教員は少ないのではないだろうか。かつ、現場、小・中・高も、もっと外部に顔を出しても良いのではないかと思う。この記事からは、「なぜ、現場をみないのか」といったことがフォーカスされているが、現場は外を見る努力を本当にしているだろうか?まだまだ、閉塞感を感じてしまう、私である。

 新卒の学生に何を求めているのだろうか?即戦力なのだろうか?それほど、教員は足りていないのだろうか?そのまえに、即戦力ってのは「どのようなスキル」を持っている人なのだろうか?指導ができる人?学級運営ができる人?

 これを、新卒に求めることに問題はないだろうか?企業ならOJTが必ずある。期間はまちまちだと思うが、3ヶ月~1年くらいだろう。そして、トレーニーの間はトレーナーがいて、ほとんどつきっきりで指導してもらえる。おそらく、学校にもこのような制度はあると思うのだが、これでは遅いのだろうか?そもそも、教員免許を習得するための科目内容が、現在の現場にあっていないのではないだろうか?それだから、即戦力にならないと感じる。つまり、教職課程が無意味であると現場は言っているのではないだろうか?

 現場主義ともあるが、不登校や学級崩壊などは現場でも対応しきれていない問題を、新卒のトレーニーが対応できると本気で思っているのだろうか?おそらく、各々の論理を展開しあい、生産性のない、協調性のない議論を延々と続ける姿が容易にイメージできる。協調性と柔和な考えを持ち合わせることが、全ての土台になると思う。

 現場は既に経験があるので、よそ者の話や新人の話を聞くことがむずかしいと聞く。

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