Tuesday, March 21, 2006

「名人教師」に学べ 先生向け教室に人気

 生徒指導のスペシャリストとして有名な原田隆史氏がフォーカスされた記事がasahi.comに載っていたので引用。

asahi.com: 「名人教師」に学べ 先生向け教室に人気 - 教育
 指導力に定評と実績のある名人教師から、現役の先生たちが指導法や日常の自己管理、教材開発などを学ぶ「教室」が人気だ。若手教師たちが実践的な技術を求めているのが一因のようだ。

◇目標定め、厳しく自己管理 元中学教師の私塾

 目標を見つめ直し、日々の行動を厳しく点検する――。天理大非常勤講師の原田隆史さん(45)は、東京と京都、大阪で毎月開く「教師塾」で、生活指導や教科、部活指導に生かせる教師自身の自己管理について教えている。

 原田さんは大阪市立中の元教師。一時期荒れた学校をたて直し、顧問をしていた陸上部から全国1位を相次いで出した実績を持つ。03年、教師歴20年を機に教員をやめて塾を始めた。

 大阪会場は間借りした語学学校の一室。3月上旬の金曜日、午後7時から始まった塾は、小学校から高校まで、50人以上の教師たちで埋まっていた。20代30代が多く、教師を志す学生もいる。

 「自分とかかわりが少ない子の名前を書き出して翌日声をかけています」「部の生徒に目標を書かせたら、それぞれのやるべきことが見えた」

 参加者は5人のグループ内で1カ月の取り組みと成果を次々発表する。時間は2分。壁にはった模造紙にも書き込む。

 続いて前回の宿題「人生のビジョン」の発表。今後15年間を1年ずつ区切り、学校、人生、家庭と領域を分けて「未来」を設定していく。「定年」など予測できる事柄と、そのときに何を達成していたいかという目標を明確にする作業だ。

 原田さんの声が飛ぶ。「未来を決めてから今何をするか考えるのが成功のひけつです」「指導者がふらふらしていたら生徒はついてこない」。参加者は、重要と思った言葉を付箋(ふせん)にメモして、ノートにはっていく。

 夕食をはさんで午前2時半すぎまで。その後も参加者同士で話し込む。

 「勤務先にない熱気がある。目標を決めて頑張ろうと思えた」「生徒の学習態度を変えられずに悩んでいたが、自分を変えれば生徒が変わることに気づかせてもらった」参加者はそう話す。

 受講は無料。必要経費は、企業の社員教育などで原田さんが稼ぐ。「成功の教科書」(小学館)など4冊ある著書の収入の一部もあてる。

 「教師を育てないと日本の将来は無い。教師への風当たりが強い今、若い人を応援したいんですわ」と原田さんは話す。

◇退職校長がマンツーマン 各地の教委も始動

 教育委員会が授業力向上に乗り出す動きもある。

 03年に始まった新潟県長岡市の「教員サポート錬成塾」。力量のある退職校長が「先生」になって、希望する現職教師のもとを訪ね、マンツーマンで授業や学級経営の方法を指導する。

 (1)ベーシック(教職2~6年目)(2)クリエーティブ(7年目以降)の2コースがあり、現在37人が受講している。

 4月に始まる東京都教委の「東京教師道場」の指導役は、退職校長ら学習指導専門員10人。教職5~10年の若手400人が指導を受ける。小中高、教科などで計50のグループに分け、先輩教師が2人ずつ助言者として付く。

 2年間にわたり、助言者の授業の見学、指導案づくり、教材開発などを通じ授業力を磨く。

◇学級崩壊防ぐコツ NPOがセミナー

 NPO法人「授業づくりネットワーク」が東京で隔月に開いている教師力UPセミナーは、「教え上手」で鳴らし、著書もある現職とOBの教師らが講師だ。受講者約50人は30代が中心。

 「困難な現場を生き抜く教師の実践授業術」と題した2月のセミナー。

 横浜市の公立小で教師経験35年の野中信行さんが、学級崩壊を防ぎ、まとまりのあるクラスを作るコツを披露した。算数の模擬授業では、参加者に計算問題を解かせ、ストップウオッチによる計時方法や声かけのタイミングなどを細かく手ほどきした。

■授業力向上、重要課題に

 こうした試みをどう見るか。

 国立教育政策研究所総括研究官の木岡一明さんは(1)都市部を中心に急増した若手教師が、役に立つスキルを求めている(2)中堅以上も、子ども、家庭、地域の変化に伴い、従来の教え方が通用しにくくなっている、という事情を指摘する。

 かつての学校は、放課後などの授業談義が盛んで、ノウハウが先輩から後輩へ伝えられたが、学校の小規模化で1校の教師数が減ったことや、勤務が忙しくなったことでその伝統が薄れた。80年代以降、校内暴力や不登校の問題が増え、生活指導に重点が置かれ、授業が後回しになった面もある。

 木岡さんは「これまでは授業力の問題が隠れていたが、親の目も厳しく、学力向上が学校の重要課題になるにつれて、大前提の授業力が浮上してきた」と見ている。
 原田氏は教育分野ばかりでなくビジネス分野でも名の知れた人物で、彼が開く「教師塾」や「企業塾」がメディアで取り上げられたときに知った。このブログでも過去に書いたかもしれないが、最近この手の「教師のための塾」がメディアに取り上げられることが多い。というか、以前まではこのような試みがなかったのかと思うと、「なんだかなぁ…」と思う。このasahi.comの記事にはないが埼玉県では新人教師(5年目くらいだったかしら)が集まり、意見交換をする場が教育委員会か何か知らないが、行政側から用意されている。これのソースはNHKのニュースだったと記憶している。

 このブログでよく出てくるフィンランドでは、毎日、放課後にこの類の意見交換やレビューの時間がある。アメリカはといいますと、聞いた話しなので信憑性は定かではないが、勤務時間が終わると直帰らしい。労働者としては、アメリカ型がよいが…

 問題としては、このような時間を満足に確保できるかどうかだろう。聞く話しの端々に「雑務が多すぎる」という言葉が多い。そして、それは真実だと思う。特に新人教師はこれに振り回されてテンテコマイらしい。教育界にはOJTらしきシステムもないらしいから、かなりテキパキと物事を進められる人間でないと、無駄な残業だけがかさみ、授業は二の次のようだ。なんか、優先順位のつけ方に違和感があるが、そうらしい。「雑務は若い人に」という親心とも悪習ともとれる流れがある。

 原田氏の「教師塾」は自ら飛び込まないとならない。つまり、余程やる気がある人でないと、ということになる。埼玉の新人教師の集まりも確かそうだったと思う。要は、個人の素質に関わることなのかしら。

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