Tuesday, August 28, 2007

言語の脳科学―脳はどのようにことばを生みだすか

 肉厚な内容。

Amazon.co.jp: 言語の脳科学―脳はどのようにことばを生みだすか (中公新書)

 「言語をサイエンスに」という酒井邦嘉氏の思いが色濃い。もちろん、その部分は賛成であり、情報工学での活用も考えられるので、丹念に研究がなされてほしいと思う。しかし、本書を見ると、翻訳ソフトはまだまだだなぁと改めて思う。

 この手のはなしは、分野別ではなく、時系列で述べてもらえると、私はすんなり理解できることが多い。分野ごとで述べられているのであるが、2章を読んでいるのに、7章に詳しいとか書かれていると「なんだかなぁ」となってしまう。まぁ、これは私の嗜好である。

 チョムスキーの言語生得説を仮定して論じてあるので、現在の言語学、認知言語学、応用言語学の問題点を知るのによい。本書では、今までの論文を言語生得説の立場から批判している。しかし、紙面の関係上、とてもあっさりした批判に終始している感が否めない。然るに、その妥当性を解決するためには、他の書籍を見ながら、「ふむふむ」などとしなければならないだろう。そんな書籍も、時間もないので私はやっていないが、精読するならば、参考文献を手元におく必要がある。

 以下のサイトに、本書のためのチェックポイントのようなものがある。

英語教師のための認知科学・認知哲学

 「現在、常識・定説として何があるのか」ということをこのリストから考えることができる。読む際の助けとなるだろうと思う。私は読み終わってから知ったのだが……

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