Saturday, May 03, 2008

小学校英語教育での中間管理職の悩み

 小学校英語教育が2011年度から必修化になる。今現在は移行期間であり、各自治体、各学校単位で試行錯誤の連続であろう。そんな試行錯誤のなかでの現場レポート。

小学英語 多難な必修化…自治体 授業時間確保に差 : 教育 子供 トピックス : 関西発 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 関西地方の報道である。関西といえば、教育改革に熱心な京都が思い出される。しかし、それに反し、大阪の苦悶のようすも知られている。本記事でも比較対照されている。が、問題はそこではない。

 まず小学校英語って何をするのか?記事のノートにこうある。

英語の必修化

 小学5、6年生を対象に年各35コマの授業を行う。英語のコミュニケーションに慣れるのが目的で、「話す・聞く」に重点を置き、「読み・書き」は行わない。中学校の英語とは異なり、「教科」ではなく、成績評価はしない。文科省が作成した教材「英語ノート」(試作版)には、2年間で285の単語と、50の表現が盛り込まれている。

 ポイントは対象学年が高学年の5、6年生。授業時間は各学年35コマということ。そして、ここではふれられていないが本文中に、

文科省は、35コマのうち3分の1程度にALTが補助に付くのが望ましいとの基準を示している

 ALT は35コマ中おおよそ12コマの授業に帯同しなければいけない。ポイントはこの3点であろう。

 本記事で指摘したいことは、おそらく予算のことだと思う。予算となると中間管理職ならではの悩みどころだ。

学習指導要領の改定に伴い、2011年度に必修化される英語教育で、自治体間で取り組みの差が広がり始めている。3年後の実施に向け、教員を指導方法に慣れさせようと、新指導要領に合わせて小学校5、6年生で年35コマ(1コマ45分)の授業を行う地域がある一方、人件費を理由に必要な外国語指導助手(ALT)を確保できず、数コマにとどまっている地域も多い。中には、在住外国人らを臨時講師に雇ってしのぐ自治体も。今後、3年間で英語教育への取り組みの差は、さらに開く可能性もあり、専門家らは教育現場での早急な対策を訴える。

 これを読むと、まず、新学習指導要領に対応すべく、文科省が求める ALT を確保しつつ、年35コマの授業を行っている地域がある。一方、ALT を雇えず年35コマを下回る回数しか授業ができない地域があるといっている。ALT を雇えずとも年35コマをカバーすることはできると思うのだが、そこらへんがいまひとつ掴めない。

 もともと悩みのタネであった、「誰が教えるのか?」という問題だ。上で述べたように ALT の帯同は各学年約12コマである。ALT 1年雇うのに必要な経費は、一人頭、おおよそ300万円だと大阪市の事例からわかる。

大阪市では、今年度の小学校のALT人件費は約2000万円。7人を雇用するのが精いっぱいで、299の全小学校の6年生だけにしか授業ができず、しかも年6コマ。5年生の授業は、中学校のALTを派遣してやりくりするが、昨年度の実施率は全校の約30%。市教委は「もっと必要なのはわかっているが、増員できず頭が痛い」と嘆く。

 ここでは、ALT を補助にいれた授業が年6コマということだろう。文科省が求める数値の半分である。かつ、6年生のみとなるとまた半分になる。文科省が求める数値の 1/4 の達成率になる予定である。

 中学専門の ALT を応急手当で宛がっても、ALT が補助にはいった授業を行った学校は 30% に止まる。比べられる数値データがひとつもないので、何がなんだかよくわからない。6年生と同じ条件で、年6コマの授業を行ったということでいいのか?年6コマの授業を、全小学校299校の 30% である、約90校できたでよろしいか?予算がないので困っているというのであれば、きちんと書いたほうがよい。

 小学校英語の授業内容が発表されたあたりで、賛成派から「これなんか違くない?」という声が聞けるかと思った。しかし、まったく聞かない。賛成派もいろいろ考慮していたのだと感心する。

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