Tuesday, April 15, 2008

福島英 『ヴォーカルの学び方―あなたも欧米人のような声が出せる』

 副題が「あなたも欧米人のような声が出せる」とあるので読んでみた。

Amazon.co.jp: ヴォーカルの学び方―あなたも欧米人のような声が出せる (ON BOOKS)

 まったく関係ないが、私はカラオケが好きだ。特別うまいわけではない。ただ人より高い声がでる。結構チヤホヤされる。悪い気分じゃない。

 しかし、声が薄っぺらい。体つきやなんやらのせいだと思っていた。どうやら違うらしい。たしかに、プロの歌手にはマッチョな人もいればキャシャな人もいる。

 声の出し方に違いがあるらしい。日本人と外国人をくらべれば分かりやすい。全然ちがう。人種の差かとも思っていたが、どうやら違うらしい。最近、気がついた。

 本書は、欧米人と日本人の声の出し方の違いを書いている。参考文献を見ると、靜哲人氏の『カタカナでやさしくできるリスニング』(研究社出版 1997)とある。こちらをあたる方が正解なのかもしれない。しかし、本書は音楽と絡めて話が進むので、私には分かりやすい。

 いくつか確かめたいことがある。

 英語母語話者の声は低いのか?特に米語の男性。英語教材などに収録されている声を聴くと愕然とする。私の耳には「ビリビリ」と響く。ウーハーを積んだ車から漏れてくる音とも振動ともとれる、あの感じである。私はいまだに苦手だ。

 私の声は、本当は深くて太いのですが、日本人には低く聞こえます。というのも、日本では男性も女性も、子供のような浅い声で話しているからです(このことは、後述するように、日本人が音色より高低で音を捉えることや「声の敬語」的使い方に関係しています)。
 欧米人が日本人のまねをするときは、「オ、ハ、ヨ、ゴザイマス」などカン高くした口先でつくった声で、ブツ切れにとても不自然にやります。ということは、彼らは、日頃、こういう不自然なところで話さないということです。(pp.71)

 どうやら私は、一般的な日本人のようである。声の質を高低で判断しており、深さや太さでは判断できていないようだ。前に、マーティがこんな指摘をしていた。

理解できない! YUKIや大塚愛は米国だったら“オンナの敵”…だって恋のライバルだから - 日経トレンディネット

 まずは声質です。こんなに高い音程なのに、叫ぶように歌っているわけではなくって、甘えているように歌う超いやしの声じゃん。この独特の声質は、たぶん洋楽には存在しません。童謡にすらありません。

 この声を僕が日本語で表現するとしたら、「リスみたいな声」になります。日本人には、結構伝わるんじゃないでしょうか。でもアメリカ人には絶対に無理。だって「リスみたいな声」のボーカリストを聴いたことがないし、「リスみたいな声」という言葉はありえないから。

 だいたい同じことを言っている。「高音なのに叫ぶように歌ってない」というのは本書にもある。

 もうひとつ気になっているのはリズムについて。英語教材のいくつかに「英語は3拍子」とか「英語は3ビート」とかある。「3」は共通なのだが、「拍子」と「ビート」が違う。私は「拍子」も「ビート」も詳しく知らない。あやふやな理解でしかなかった。特に「ビート」が分からない。ドラムのリズム・パターン程度の理解だ。もしくは、ギターリフの「ズガズガ、ズガズガ」が8分で刻むというくらい(「ズ」がダウン・ピッキングで「ガ」がアップ・ピッキングという具体)。私のもうひとつの「拍子」と「ビート」の理解は、拍子記号の分母と分子の関係である。分母が「ビート」で分子が「拍子」という具合である。本書ではこれらの違いをこう示している。

 まず、pp.219 に「拍(音節)」とある。そして、

 俳句は、五・七・五で数えます。<中略>欧米人は、六・八・六か八・八・八でとります。彼らの耳には、強迫のない8ビートに聞こえるのです。(pp.112)

 ということは「拍=ビート」、すなわち「音節=ビート」ということができる。拍子については音楽的なことしか書かれていない。シャッフルやボサノバ、ワルツの3拍子という具合である。

 このことから類推する。「英語は3拍子」は、SVO や SVC のことを言っているのではないか。簡単な単語は1音節のものが多い。たとえば、I love you. はすべて1音節の単語である。拍子とは拍をまとめたものである。上に書いたが、拍は音節である。ゆえに、 I love you. というフレーズを3拍子と表現できる。「英語は3ビート」もおそらく同じであろう。

 洋楽にはウラノリの楽曲が多い。これはリズム感の差だと聞いたことがある。本書にはそれを、日本人はダウンビート、欧米人はアフタービートとしている。欧米人には救急車のサイレンがポピーに聞こえる(pp.161)とあるが、これは前に聞いたことがある。思い出した。

 いくつか分からないところもある。等時性のところだ。物理のときに、習った記憶があるが、どうも違うらしい。

See also
ブレスボイストレーニング・メソッド[参考]

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