Friday, June 08, 2007

日本人はなぜ英語ができないか

 これ、なんて『国家の品格』?

Amazon.co.jp: 日本人はなぜ英語ができないか

 Amazonでよい評価だったので読んでみた。まぁ、はじめの2,3のレビューだけをみて「よい」と判断したのだが……

 本書の筋は2本立てで、「外国語を学ぶ目的」と「日本人の外国語に対するスタンス」で論じている。

 「外国語を学ぶ目的」は、斎藤兆史氏と同軸だ。外国語を学ぶ目的は、日本を外国へ発信すること、これこそが真の国際人だというモノよりはトーンは低いが……。よって、学習内容も日本人の生活に沿ったものをチョイスせよと本書では述べている。言いたいことが言えないというのも、発信するための訓練を受けていないからなのであって、けっして学習を怠慢にしていたからではないのである。

 「日本人の外国語に対するスタンス」では、脈々と築かれた英語に対する文化と、それによってできた既得権益を強烈に批判している。私も基本的には賛成だ。学問、教養としての英語とは別にして、「英語が必要な目的」を現実に沿って変えていかなければいけないという姿勢は当然だ。

 しかし、これを論ずる際に肝として採用している鈴木氏の文化論は、ヒヤヒヤする。「II章 - 二 外国語学習の様々なあり方」辺りから読んでいて不安になり、Googleさんに聞いてみたが、この部分に疑問符を投げかけている書評が多い。私は、話半分で読むようにした。なぜなら基本的に、氏の提案する英語教育改革案――「国際理解はやめよう」、「内容に一貫性を」、「外国語教育の多様化」など――に賛成だからだ。少し、間引いて読まなければ危険かなと判断した。そして、ここら辺から徐々に、『国家の品格』と重なりだした。

 まぁ、案の定というかなんというか、「あとがき」で藤原正彦氏の文章に共感した旨を示していた。本書も『国家の英語』などと仰々しいタイトルをつければ、もっと多くの人に読んでもらえ、ブレイクしたのではないか。本書がどれだけの人に読まれているか分からないが、鈴木氏の英語教育改革案に目を向けてもらいたい。そこから議論が起こるに違いない。

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