Tuesday, July 03, 2007

反社会学講座

 ちくま文庫より補講付き文庫版が7月10日に発売されるようです。まだの方はこちらを読むのがいいかもしれない。

Amazon.co.jp: 反社会学講座

 『つっこみ力』を読み、興味がわいて読んでみましたが、パオロ・マッツァリーノ氏の話術は天才だ。内容云々より、読み易さに興味を惹かれる。この能力にかなり憧れる。もちろん、内容もイイ。

 内容に関しては、タイトルに偽りなく、社会学を疑おうというもの。最近は陳腐なことばに成り下がってしまった感はあるが、2007年現在でも本書の内容は十分に耐えられる。というか、必須事項になった感がある。

 今現在、年金が今度の参院選のテーマになっている(と、メディアでは聞く)が、年金問題なんて、年金受給対象者をそうでないモノが支えるというふうに定義を変えれば済む問題だと思っている。年金受給者は一律で年金がもらえる、というふうに。積み立てた年数で受給額を決めるから、損得勘定が働く。今現在でも、集めたお金で賄っているのだから、素直にそう言えばいいじゃん。余計なお金がプールされなければ、それを使うこともできないし、一石二鳥じゃないか。

 本書によると、このような方法を賦課方式というらしい(pp.284)。「なんだ、そういう考えがあるんじゃん」と安心したが、そんな議論はどこからも聞こえてこない。これはちょっと怖いことかもしれない。

 本書では社会学をこう定義している

社会学者の個人的な偏見をヘリクツで理論化したもの、それが社会学です(pp.16)

 この理論化は「●●理論」のような使われ方で、公理の意味はないですね。一方、Wikipediaでは

社会学(しゃかいがく)とは、社会現象の実態や、現象の起こるメカニズムを解明するための学問である。社会的な文脈における、人間、及びその集団や、人と人との関係、さらには、より大規模な社会の構造を研究する学問ということができる。あるいは、思想史的に言えば、「同時代(史)を把握する認識・コンセプト」を作り出そうとする学問である。

社会学 - Wikipedia

 うん、大差ないですね。

 しかし、一番ピンときたのは

理系の学生に、なぜ文系でなく理系を志望したの、と質問すると、しばしば以下のような答が返ってきます。「国語の先生は気分によって正解が変わるから信用できない」。社会学がまさにこれです。(pp.14)


 まじですか?こんなこと書かれちゃぁ、社会学を全否定してしまいますよ……。国語の先生も大変だ。

 筆者HP
スタンダード 反社会学講座

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