Monday, July 09, 2007

脳と魂

 本のタイトルは無視していい。「脳」は養老氏で「魂」は玄侑氏のことだ。ちょっと仰々しすぎる。-1ポイントです。

Amazon.co.jp: 脳と魂

 養老氏がどのようなヒトと対談しているのか、すべて把握しているわけではないが、とても筋を追い易かった。対談相手の玄侑宗久(げんゆう・そうきゅう)氏は鬼のような博識で、養老氏の言葉を噛み砕いてくれる。普通は逆なのかもしれないが(笑)。氏の対談としてはつっかかるところが少なく、私としては珍しくスムーズに読むことができた。今まで私が読んだ氏の対談はこれがなかったのかもしれない。その場では、氏と対談相手は相互理解ができているが、第三者がそのすべてを把握できるわけではない。

 私は仏教にかぎらず、宗教というものに対しての知識はゼロだと胸を張って言える。だからかもしれないが、今まで考えていたことがほとんど仏教という分野に吸収され、置換されていくのは、チト悲しかった。「知らぬが仏」とはこのことかもしれない。

 高齢化社会になり、親の介護を誰がやるのかが問題となったときに、私は、今と逆に女側の家に男が入ればいいんじゃねと思っていた。これならば、嫁姑問題もなかろうしと。

玄侑 平安時代は妻問い婚ですよね。あれはいい制度ですよねえ。嫁姑問題もないし。安田徳太郎っていう人が『人間の歴史』(全八巻 光文社)の中で書いておられましたけど、基本的に人間社会は、最初は母権制だった。(pp.66)


 ふっ、平安時代かよ。ほんと悲しくなる。

 本書には江戸時代の生活やら制度やらが出てくるが、最近、個人的に江戸時代ってなんなんだろうと思っていたので、興味をもって読んだ。「第三章 世間と個人」は少なからずショックだ。これは、いつの時代でも社会問題なのだなぁと、改めて思った。

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