Saturday, July 14, 2007

魔女の宅急便

 『魔女の宅急便』はジブリ作品の中で、一番、好きな作品かもしれない。一番というのはなかなか定義しにくい。『ラピュタ』や『ナウシカ』ももちろん好きだが、これらの好きと同じベクトルではない。それでも、ジブリの作品からひとつ選べとなったら、これをあげるだろう。

 私のまわりでは、私の思いと反して人気がない。地味なのだろうと思うのだが、特段、理由を探したわけではない。まぁ、ちょっとズレた感覚かなぁとは、ずっと思っている。先日、『ラピュタ』が放送された時には、ネット界隈では盛り上がっていたが、今回はおそらくないだろう。まぁ、それでもいい。それがいい。

 私が最初に『魔女の宅急便』を見たのは、中学生の頃だ。その時から好きなのだが、なかなか表現しにくかった。今でも表現しにくいのだが、強いて言うなら一目惚れと同列だと自分では思う。それこそ、「好きなんだから、ショーがない」だ。それでは能がないので、理由を考えた。2つある。

 ひとつは、なんてことない、ユーミンの音楽だ。

 コレは強烈だ。私はユーミンを聞いたことがない。家族もなので、積極的に聞く機会は皆無だ。はじめて聞いたのがこの映画の中だ。これまでは、『ルージュの伝言』がお気に入りだった。跳ねるような2拍子で、乾いた感じの音楽が大好きだ。しかし、今日、久しぶりに『魔女の宅急便』を見て耳を突いたのは『やさしさに包まれたなら』だった。この楽曲たちが、どういった経緯で映画の挿入歌になったかは知らない。しかし、『やさしさに包まれたなら』はこの映画の核心をついている楽曲だと、今日、はじめて意識した。

 もうひとつは、自然との対峙だ。

 コントロールできない自然、子どもでいられないこと、大人になること、それゆえの儚さ、優しい言葉、分かるとは体感すること、など、今のはやりの言葉でいうなれば「14歳」を表現していることが、ズンときたのだと思う。ジジの言葉が分からなくなったキキの気持ちが意外と伝わってくるのは、そのためだと思っている。そして、これらのことが、『やさしさに包まれたなら』にギュっと詰まっていると、私は思う。これは私の解釈なので、異論はたんまりあるだろうとは思うがご勘弁を。

 しかし、こういうことを書くと副産物がある。はじめてネットで『魔女の宅急便』を調べたが、原作があることをはじめて知った。読んでみようかと思う。

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