Saturday, July 07, 2007

アインシュタイン丸かじり

 テレビ東京の特番タイトルのようで私はイヤなのだが、帯にある「『知の巨人』の魅力を濃縮」に偽りなし、と思う。

Amazon.co.jp: アインシュタイン丸かじり―新書で入門

 著者の志村史夫氏は著書が多い。「理科系の英語」も彼の著書だ。そんな氏は応用物理が専門である。本書は氏のキャリアからは王道である。

 が、私はアインシュタインについて詳しくない。それにアインシュタイン本は初読である。なので、本書がアインシュタインについて必要十分の内容であるかどうか、私が太鼓判を押すことはできない。

 アインシュタインの名前は誰もが知っていると思うが、何をしたのか問われれば「相対性理論」と答える私。しかし、「じゃ、文型の私にも分かり易く説明してくれない?」と問われると、自慢じゃないが、私は閉口してしまう。すらすらと話せる人は少ないと思う。

 本書は、そこら辺がビシっと簡潔に述べられている。これは根本的には物理学に対してとるべきスタンスでもある。

長年、物理学の分野で仕事して来た私ではあるが、正直に告白すれば、本当に長い間、「特殊相対性理論」の理解に苦しんだ。しかし、「あること」さえ素直に認めてしまえば、「特殊相対性理論」は決して理解し難いものではないことに気付いた。(pp.102)


 先生にこう言ってもらえると学生の気分は楽になる。私は電磁気の理解に非常に時間を費やした。単位が必要だったので、半ば諦めモードで鵜呑みにした経験がある。結果、コレが正解で、電磁気があれよあれよという間に面白くなった。本書(まぁ、似たような書籍はあったと思うが)があれば、もっと楽に壁を乗り越えられたかもと、当時を振り返った。

 アインシュタインのすごさを知るには、前アインシュタインの物理を理解しなければならない。本書はその流れが秀逸で、物理を苦手とする高校生や大学生が読めば、前アインシュタイン物理の理解の足しにもなるはずだ。氏が書く、物理学の本を読んでみたくなった。

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